私たちは、受験や就職に際して、進路選択と呼ばれる行動を行っています。しかしそれは、あまりにも重大な人生の選択なので、難しい決断を要します。それだけに、「なかなか決められない」と悩む人が多いようです。これは、進路選択の心理学では「進路未決定(career indecision)研究」と呼ばれています。現在は、教員養成学部の大学生を対象に、「どんな困難さを抱えているために決められないのか」を中心テーマに進めています。
(論文例)若松養亮 2001 大学生の進路未決定者が抱える困難さについて:教員養成学部の学生を対象に〜
教育心理学研究 第49巻2号 pp.209-218.
若松養亮 2005 教員養成学部生における進路意思決定の遅延 −3回生11月時点で未決定の学生を対象に−
滋賀大学教育学部紀要(教育科学) 54, pp.77-86.
若松養亮 2005 教員養成学部の進路未決定者が有する困難さの特質−類型化と教職志望による差異の分析を通して−
青年心理学研究 第17号 pp.43-56.
※この論文によせられた意見論文と、それに対する私からのリプライが、同誌・第18号に掲載されました。
進路意思決定の心理学
私が所属する教員養成学部では、近年、教員養成課程に入学してきても、教員を目指す人はあまり多くありません。これはどうしてなのでしょう。また、当初は目指さなくとも在学途中で目指すようになる人たちも、その逆に途中で目指さなくなる人もいます。同じような授業を受けながら、このように選択の結果が異なる背景には、どんな経験や考え方の違いがあるのでしょう。そんなテーマで、幾つかの研究をしました。
(論文例)若松養亮・古川津世志 1997 教員養成学部学生における教職志望意識の変化に及ぼす要因の検討
進路指導研究第17巻第2号 pp.19-29.22.
若松養亮 1998 教員養成学部学生における教職志望意識の変化に及ぼす要因の検討(2)
−教職に対する「気がかり」と「魅力」の認知を中心として− 進路指導研究第18巻第1号 pp.1-8.24.
職業体験学習の心理学
教員養成学部における教育実習だけでなく、最近流行りの中学生の職場体験学習まで、職業を実際に体験することは、子ども・青年の進路意識に少なからず影響を与えるようです。進路意識の発達研究の一環として、そのような体験の事前から事後にかけての変化にも興味を持って、研究を続けています。中学生の職場体験による意識変化は、今年の6月に体験学習が行われる中学校にて研究を進めていて、それが進行中です。
(論文例) 若松養亮 1991 教職への適合感および志望度と教育実習経験との関連について
〜幼児教育系の短大生を対象として〜 進路指導研究第12号 pp.19-26.
職場適応の心理学
進路を選んでそこに進むと、まずそこに適応するという過程が必要です。これは初期適応という一連の研究が、職業心理学の領域では数多くなされています。私は、特に文系の学部を卒業した人が、その後にどのような過程を辿って適応に向かうのか、それを妨げる要因はどのようなものかに興味があります。このごろはデータを取るところまでいっていませんが、かつては教育心理学科を卒業した7学年にわたる人たちを追跡し、考察を加えました。
(論文例).若松養亮 1993 大学生の進路意思決定の評価的研究〜卒業生の追跡調査を通して〜
進路指導研究第14号 pp.27-35.
子どもの職業認知の心理学
現代の日本の子どもは、職業に対する興味や知識が乏しいと言われています。しかし、それを系統的なデータで示した研究は意外にも少なく、随分昔になされたものしかありません。しかし職業は、IT関係のものが代表ですが、時代とともにどんどん移り変わっていきます。そこで、日本労働研究機構の方々や東北大の教育心理学研究室出身の人たちとともに、非常に大がかりな研究を進めています。2000年には、424もの職業名に対して、「どんな仕事かわからないものはどれか」「どんな仕事か知りたいものはどれか」「やってみたいものはどれか」といったことを、中学・高校生を対象に調べました。中学・高校生についての報告書ができあがったところで、現在は小学生についての調査結果をまとめています。
(論文例).下村英雄・高綱睦美・吉中淳・若松養亮・石井徹(執筆順) 2001
中学生・高校生の職業認知 日本労働研究機構刊 資料シリーズNo.112
※第4章「職業認知の指標間の関連」(pp.69-82)を担当執筆。
また、この系列の問題意識として、小・中学生が学校での学習をどのように役立つと見ているか・いないかによって、学習意欲が異なることを見いだした共同研究が論文になっています。
(論文例)若松養亮・大谷宗啓・小西佳矢 2004 小・中学生における学習の有効性認知と学習意欲の関連
教育心理学研究 第52巻3号 pp.232-243.
環境意識の形成に関わる心理学
環境問題に対して興味を持ち、改善に関わろうとする意識は、現代の、そしてこれからの未来を生きる者の責務です。そこで、私と、同じ学校心理コースの渡部先生とで、どのような背景要因が環境意識の形成や深化に関わるのかを95年から継続的に研究しています。子どもや青年だけでなく、成人にも調査の手を伸ばし、現在でも研究を続けています。
(論文例) 若松養亮・渡部雅之 1996 滋賀県下の母親における環境問題に対する意識調査
学習課題としての環境問題報告書(滋賀大学生涯学習教育研究センター刊) pp.31-44.
渡部雅之・若松養亮 2001 青年期から成人期に至る環境意識の発達的変化と関連諸要因の効果
発達心理学研究 第11巻3号, pp.188-199.
心理学研究の方法論について
プロフィールのページにも書きましたが、心理学の研究方法について、いろいろな点から考えてみたいと思っています。研究会や学会で他の人の発表を聞くと、その内容についてももちろん議論や質疑をしますが、方法論自体についての議論も大好きです。青年心理学会(当時は研究会)で、一度、話題提供をしたものを原稿にまとめさせていただいたり、「青年心理学研究」に掲載された論文に意見論文を投稿したりしています。
(論文例) 若松養亮 1994 大量調査式相関研究に感じる“もどかしさ”とその対策への試論
青年心理学研究第6号 pp.84-88.
若松養亮 1997 大野論文(第8号掲載)を読んで 青年心理学研究第9号 pp.61-65.