Aタイプの中毒を起こす猛毒きのこLynen と Wielandは,まだ純粋に出来ないが,より強い毒性の化合物があると報告していた化合物が1941年ついに Wieland,H. と Hallermayerらにより結晶化され,アマニチンと命名された。のちにこれはアミノ酸8個からなる環状のペプチドであることが判明し,類似の一群の化合物とともにアマトキシン類(amatoxins) と総称される。
またドクツルタケ(Amanita virosa) はファロトキシン類とアマトキシン類のほかに,ビロトキシン類(virotoxins)を含むことが判明した。
ファロトキシン類は速効性で,F−アクチンに特異的に結合し,膜を特異的に破壊する。動物(マウスやイヌ)の腹腔にファロイジンを注射すると1〜2時間で症状があらわれる。肝臓細胞の膜が破壊されるため,それが血栓となり,肝臓に多量の血液が急激に蓄積し,そのショックで動物は死亡する。
しかし ファロトキシン類とビロトキシン類は経口的に与えたものは(腸管から吸収されず),毒性を示さないため,きのこ中毒に関係しないとの考えもある。
アマトキシン類は15時間くらいで症状が表われる遅効性の毒で,ファロトキシンに比べ10倍ほど毒性は強い。アマトキシン類は9つの化合物が知ら,猛毒の本体はアマニチンで,αアマニチンのヒトに対する致死量(LD50) は0.1mg/kg (p.o.)である。従って体重 60 kgの人は 6mgのアマニチンを摂取すると致死量(LD50) に達することになる。一方, 生のAmanita phalloidesの幼菌(25g)中にはアマトキシンを5-11mg含み, 致死量(LD50)に達していることがわかる。
Bodenmuellerらの分析によるとAmanita phalloides中のアマトキシンの46% はひだに含まれ,のこりが傘(22%),柄(23%),つぼ(9%)の部分に含まれていた。
αアマニチンは真核生物のRNA ポリメラ−ゼB(orII) と特異的に結合するため,DNA の遺伝情報がm RNA に転写できなくなり,その結果タンパク合成が阻害される。このタイプの毒を持つきのこの水抽出物をマウスに与えると,肝臓の異常に敏感に反応する血液中の酵素SGOT(serum glutamic oxaloacetic transaminase) などが劇的に増加し,血中のグリコ−ゲンが減少し,血中の尿素窒素は増加する。