Eタイプの中毒を起こすきのこ〔毒成分と症状〕手足の先が赤く腫れる末端紅痛症で,徴候は食後4 〜 5日後に出る。激痛は1か月以上続くなど特異な症状として有名である。クリチジン,アクロメリン酸A,アクロメリン酸B などの毒物質と,無毒のクリチオネイン,4-アミノピリジン-2,3-ジカルボン酸(4-アミノキノリン酸)が抽出されている 。 アクロメリン酸A,B は比較的強い毒で,生のきのこ16.2 kg から Aが約 110μg , Bが約 40μg 単離された。クリチオネインは弱毒である。アクロメリン酸A,B とも,グルタミン酸アゴニストとして作動し,ザリガニの神経筋標本を使った実験によれば,グルタミン酸関連化合物中最も強い活性を示す。
神経興奮作用が認められるので,ドクササコの中毒は,タイプ Bないし Cに移すのが妥当かもしれない。
●第8グル−プ
ドクササコ Clitocybe acromelalga
1種のみが,知られている。
〔見分け方〕ドクササコは主として竹薮に生える日本特産のきのこで,傘は漏斗型で,傘の表面と柄は茶色,ひだは白。胞子は楕円形で3〜4 X 2.3〜3μm。近縁種で食用のカヤタケ Clitocybe gibbaは胞子の大きさが異なる(7〜7.5 X 4〜4.5μm )。
〔治療法〕特効薬はなく,ATP やニコチン酸の注射がやや有効。昔は冷たい清水に手足を漬け激しい痛みを我慢したという。長期間水に手足を漬けるため,肉はふやけ,骨が表われることがしばしばあり,老人や子供は死亡することもあるが,回復してもケロイド状態になる。そのためヤケドキン(火傷菌)とも呼ばれる。