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人間の社会には実にさまざまな「芸術」が存在する。そもそもなぜ「芸術」が
存在するのであろうか。伝統的に営まれている「芸術」もあれば、常に新しさを
追求する現代的な「芸術」もある。「伝統的」と「現代的」とはどのような
関係にあるのだろうか。その中にあって、子どもの「芸術」の意義や位置づけをどのように
考えればよいのだろうか。そして「教育」にとって「芸術」はなぜ必要なのだろうか。
単に生命の維持や社会を運営するためだけであれば、ほとんど必要とは思われない
過剰な表現の存在は、私たち人間に一体どのような意味を与えているのだろうか。

そして「表現」とは、だれもが社会や他者と関係を持つときに直面する問題でもある。
しかし考えてみれば、人間は赤ちゃんのときからさまざまな「表現」に取り囲まれて自己を
形成してきたという意味で、「表現」によって生かされている存在とも言えるのである。

美術教育コースのカリキュラムは、このような「芸術」と「表現」をめぐる本質的な
問題に応えるために設定されている。私たちが「生きていること」と「表現すること」との
根源的な関係を捉え直すことから出発しているのである。

今「教育」と「アート」の関係を考えてみることこそ、新しい時代の最も
重要な課題ではあるまいか。
「教育」は「アート」であるかもしれないからである。