湖心会会報 第25号 抜粋

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 インターネットが爆発的に普及するにつれてこの環境を悪用した犯罪や反社会的行為、人権侵害が目立つようになってきました。滋賀大学情報処理センターは滋賀大学の学生がこのような風潮のなかで不利益を被らないために、この4月から『インターネット利用のためのガイドライン』というパンフレットを新入生全員に対して配布することになりました。心理学研究室の近藤先生は情報処理センター分室長を勤めておられ、またこの冊子の執筆者もされておられるので、この冊子から大切な部分を転載させていただきました。

『インターネット利用のためのガイドライン』からの転載

        近藤文良

 今日急速に普及しつつあるインターネットは、ネットワークに参加する多くの人たちが利用するものですから、その機構を安全かつ正確に、能率良く利用するためにも一人一人が守らなくてはならないルールがあります。そのいくつかをご紹介しましょう。
 まずはプライバシーの問題です。インターネット上で公開されている情報は他者のプライバシー(個人情報)を侵害するものであってはなりません。しかもこれらの経路で公開される情報は広い範囲で公開されるために、悪意に基づいた行為の影響は甚大です。個人情報とは、その人の名前、生い立ち、生年月日、年齢、宗教、勤務先や家族構成、家族の健康状態、性格特性、本籍地など、その人固有の情報すべてを含んでいます。現住所や電話番号くらいならいいだろうと思って、勝手に当人の許諾なく公開することはあってはなりません。またメールやメーリングリストを通じて、他人・他国・特定の地域や異性に対して人権侵害にあたるメッセージを発信してはいけません。職場や学校では直接対面しているが故に理性的に振る舞える人間であっても、ネットワーク上になると平気で侮蔑的な発言や・差別的言辞をもてあそぶ輩(やから)がいるものです。特定の異性に対して、セクシャル・ハラスメントまがいの誹謗・中傷・人権侵害を繰り返す人物も跡を絶ちません。
 また、インターネットのホームページには、ポルノグラフィーに代表される猥雑な画像や、目を背けたくなる興味本位の戦慄や恐怖心をあおる写真、あるいはそれらに連動した卑猥な表現、自殺や犯罪の引き金になるような反社会的な風潮を扇動する表現など、低俗で非道徳的で正視に耐えない内容で埋まったものや同類のニュースグループが存在します。これらの表現はたいていの場合、人間の尊厳とは真っ向から対立する倫理観の低下した感覚に依拠しているものがほとんどであり、児童・生徒のように影響をうけやすい年齢層にとっては接触させてはならない情報です。インターネットは「自由に」情報発信できるとはいえ、上記のような健全な社会の発展を阻害する表現に対しては、それぞれの国の法律で厳密な制約を設けています。
 一方でネットワークが浸透するにつれ、文書や画像などの情報が電子化されて容易に閲覧できるようになってきたのはインターネットのプラスの面でしょう。しかし、これらの取り込まれた文書や画像には著作者の権利があり、これらを自分の著作物であるかのように情報発信すれば著作権を侵害することになります。プログラムを改変・加工したりして自らの著作物とすることもできません。そもそも著作権とは、著作者に無断で模造物を作らせない権利ですから、基本的には著作権を放棄した画像(著作権フリー)などを除いては個人が利用する範囲を超えては使えないと考える必要があります。ですから、情報発信する場合でも、他人が作った著作物は使わないという立場をとらねばなりません。使用する場合は発信者への許諾と引用先の明示を心がけなければなりません。


会員の皆様へ

 湖心会会報「湖心」は年1号の発行を基本とし、この事務手続きを滋賀大学心理学教室にて行って参りました。しかし、最近マスコミ等でも報道されておりますように大学を取り巻く情勢が急変しつつあり、これに伴って大学改革等に関わる作業が膨大なものとなって参ったため、十分な時間と手間がかけられなくなって参りました。
 数年前より、名簿の電算管理を始めとする事務の効率化をはかっては参りましたがさらに一層の省力化を願わざるを得ない状況です。
 そこで今後は、湖心25号の文書形式により今後「湖心」を発行させていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。これは、郵政省のサービスであるハイブリッドメールを利用しています。パソコンで文書を作成し送付リストとともにインターネットで申し込みますので、印刷、校正、袋詰めなどの手間が不要です。一方欠点としては、紙面が限られているので、これまでのように潤沢に情報を記載できないこと、会費振込用紙や他の関連文書を同封できないこと等が挙げられます。
 文書量の不足に関しては、会員個々からのリクエストによって、郵便やファックス電子メールなどによる個別の情報発信を行ったり、教室便りにもあります湖心会ホームページ内に情報を載せることで対応しようと思っています。また、今号のIT特集のように、内容を関連のある記事で構成することで、より密度を維持することも考えています。ただ、会費振込用紙が同封できないため皆様にご不便をおかけいたしますことは如何ともしえないことです。この点につきましては、どうぞご容赦下さい。


事務局・教室だより

○ 平成11年の卒業論文,心理学関連修士論文には以下のものがありました.

<卒業論文>
 Slc:ICR マウス胎児の頭部運動に及ぼす羊水,初乳,体毛の効果(西嶋美帆)
 4歳児と5歳児の作話に認められる母親に関する情動的表現(井上敬子)
 いじめ場面における傍観者の意識(奥田陽子)
 光周性が精巣と体発達に及ぼす影響(加藤知歩)
 大学生における自己効力感とソーシャルサポートの関係について(坂井朋恵)
 中学生の定期試験前のストレスに対するコーピングとソーシャルサポートの効果(竹島芙紗子)
 帝王切開されたSlc:ICR マウス胎児の2種類の母乳への選好(林みのり)

<修士論文>
 総合学習における自己効力感の変容(安田美幸)
 学校風土と友人・教師関係が中学生の学校適応感に及ぼす影響について(笹山 晃)


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