湖心会会報 第28号 抜粋


目次

  特集:国立大学法人滋賀大学となれば… Q & A
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 皆様ご存じの通り、国立大学は本年4月1日をもって一斉に法人化されます。そこで、本号の湖心はQ&A形式で、法人化とは何か、法人化後にどのような変化が生じるのかを特集いたしました。なお原稿は、回答の末尾に括弧で示しました心理学教室の先生方に、ご執筆頂きました。


Q1.国立大学法人は私立大学とどう違うのですか?

A..滋賀大学は法人化により名称が国立大学法人滋賀大学となります。これにより、各種の規制がはずれ大幅に自律的になる反面、経営に責任を持たされるため、これまで以上に自助努力を要求されます。授業料、入学料、検定料や外部資金などが主たる収入源となりまが、これらの収入だけでは、当然、滋賀大学の経営は成り立ちません。そこで国から運営費交付金が支給されます。滋賀大学の場合、61%をこの運営費交付金が占めます。ただ、今までは、教官数と学生数に応じて一律に支給されてきた予算は、各大学が6年単位で計画した研究・教育、運営、学生サービス、等々の中期目標・計画が評価、査定され、運営交付金が決まるような仕組みになりました。私立大学と違い、法人化されたとは言うものの、経営には莫大な国費が投じられている点を忘れてはいけません。また、教員養成課程等の改廃、学部の新設なども文部科学省との相談が必要です。(井深)


Q2.子どもが在学しているのですが、授業料の値上がりが心配です

法人化後の授業料については、多くの方が値上がりの不安を感じておられるようです。学生の経済状況に左右されない進学機会を提供するというのが国立大学の役割でしたが、これは法人化後も重要だと滋賀大学でも考えています。法人化初年度の平成16年度については、本学の授業料は文部科学省で定める標準額(520,800円:平成15年度と同額)とし、その他の諸料金については現行金額を踏襲する予定です。文部科学省によれば、各大学が学生に特別の教育サービスを提供したいなどの理由がある場合には、標準額を超えて授業料を定めることも可能だが、その場合でも標準額の10%までという上限を法令で定めることとしており(下限はありません)、大幅に上がることはありません。(児玉)


Q3.子どもが入学を希望していますが、入試は変わりますか?

A..法人化による直接の変化ではありませんが、滋賀大学教育学部ではいくつかの入試方法の変更が予定されています。まずセンター試験入試が平成18年度(平成18年1月実施分)から5教科6科目に変わります。これまで社会の教科は1科目でよかったのですが、[世界史・日本史・地理]から1科目、[現代社会・倫社・政治経済]から1科目を選択するという形になります。この変更は文部科学省の指導による「5教科7科目入試」に対応した変更です。他大学で早いところでは平成17年度入試からになっています。では「なぜ本学部・当コースでは6科目か」と思われるかもしれませんが、もともと数学の教科では「数学T・数学A」という科目と、他の数学の科目(「簿記」「情報」なども含まれます)から1科目を課しており、2科目であるにもかかわらず、これをセットで1科目と見なしているのです。したがって、実質的には「5教科7科目入試」となるわけです。
 続いて個別学力試験(2次試験)ですが、現在、本学部の入試制度全般が見直されつつあります。これまでは研究室やコースごとに何人、という単位で募集してきましたが、これをもっと大きな単位で募集し、入学後に希望と1回生時の成績によって所属を決定する、という方向です。しかしまだ最終的に決まったわけではありませんので、決まり次第、お伝えできると思います。(若松)


Q4.心理学教室の現状と将来展望を教えて下さい

A.設置形態が法人組織であるかどうかに関わらず、変わらない面と、変えなくてはならない面があります。変わらない面は、教育学部にあって、児童生徒の学習や発達に関わる重要な心理学的知見を教え、また研究するためにこれまで築いてきたカリキュラムや指導体制の良き伝統(たとえば卒論などの作成に至る厳しく、かつ丁寧な指導体制や心理学研究室としての一体感のある親和的な学びの共同体など)はこれからも維持されていくものでしょう。しかし、これからの教育学部に要請される様々な期待(質の高い教員養成、専門的職業人の育成や社会との連携など)に応えるための学部改革には積極的に対応していくことになるでしょう。その中には、これまで教育心理学研究室とか学校心理コースとして入学時から卒業時まで構成員が変わらずに進級していましたが、これからはもっと多様な形態の指導体制が考えられています。教師側も法人化を機に変えるべき部分を総点検して学生が入学して満足できる研究室をつくっていかなければならないと決意しています。(近藤)


Q5.湖心会も変わるのですか?

A.心理学教室の同窓会である「湖心会」は、任意団体なので大学の法人化は直接関係しません。そのため、来年度以降も特に変更はありません。むしろ法人化に伴い、滋賀大学ならびに心理学教室は、これまでよりも社会との連携を強めていくことが求められるようになると思われます。湖心会は、まさに大学と社会をつなぐものとして、一層大きな役割を果たすようになるでしょう。もちろん、同窓生どうしの親睦をはかるという、同窓会本来の目的が変わることはありません。事務局でも、同窓会誌「湖心」や同窓会ホームページを通じて大いに情報交換を行っていきたいと考えております。
 会員の皆様には、今後とも湖心会と心理学教室、そして滋賀大学に対しまして、変わらずご理解・ご支援を賜りますようお願いいたします。(渡部)


事務局・教室だより

○ 平成14年度の卒業論文,心理学関連修士論文には以下のものがありました.

<卒業論文>
岩本すみれ 算数の授業場面における子どもの挙手行動を規定する要因について
大竹亜矢子 大学生の親からの自立における要因について
大森裕美子 日長変化とストレス効果
河野仁美   母乳の反復刺激が帝王切開されたSlc : ICRマウス胎児の反応に及ぼす効果
黒田明良   自尊感情と身体的自己効力感が痩身願望者のダイエット手段選択に及ぼす影響
武内美緒   プロゲステロンとエストロゲンの急性投与が卵巣摘出されたSlc:ICRマウスのモリス型水迷路の遂行に及ぼす影響
中川久美子 3,4歳児におけるカテゴリー化能力の発達的特徴
橋本美咲  運動技能学習における筋感覚的イメージと視覚的イメージの効果
長谷美佳  学校適応感と関連する学校生活場面の検討
平田藍子  中学生の同調行動を規定する要因
藤田あゆみ 驚愕性瞬目反射に及ぼす先行刺激の嫌悪性及び時間間隔の効果
水川恵里  幼児期の感情理解における相互作用の影響
水村浩樹  餌のランダムな剥奪に由来するストレスに対する遊具環境の効果
山本顕典  教職志望意識に影響を与える教育実習中の出来事の検討

<修士論文>
石川百合子 「絵本の読み聞かせ」と自律性に関する実証的研究
森岡 寛  シリアンハムスターにおける冬眠とストレスの関係
 【お詫び】
  「森岡 寛」様のお名前を、お送りした会報の中で、誤って「西岡 寛」としてしまいました。
  森岡様にはご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫びいたします。
  会員の皆様には、誠にお手数ですが、ご訂正をお願いいたします。


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