湖心会会報 第34号 抜粋


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 いま、湖心会創立時を語る

  関口茂久

昭和38年4月、三井寺山門会議所において学士論文の発表と卒業生の研究発表が行われ、その席で湖心会(命名と題字は安田先生)が発足しました。
 関口が着任した当時の学舎は、東浦校舎(現法務局)、膳所校舎(現附属学校)と平津校舎に分かれていました。膳所校舎には心理学研究会という同好会があり、参加した学生は教職科目を担当する教員の指導を受けて学士論文を提出していました。その後分散していた校舎が平津校舎に統合して、心理学研究室は木造2階建ての人文棟の1階の一部に割り当てられ、片淵教授は学習心理分野、安田助教授はカウンセリング分野、猪股助教授は社会心理分野、そして関口は実験法という役割分担で学生指導を行っていました。当時は、どの専修課程の学生でも入学当初から心理学研究室に出入りしていました。
 丁度その頃、戦後初めて開催された北海道大学での日本心理学会の帰途、青函連絡船のホールに集まった関西の諸大学の有志の中から、新制大学にも心理学の基礎実験法と統計法を教育すべきだという意見が高まり、京都大学の柿崎祐一教授(故人)の研究室に集まって「実験とテスト」の編集作業が始まりました。編集委員の一人になった関係で、滋賀大学でも系統的な心理学教育を実践しようと思い立ちました。そこで、心理学で学士論文を提出するには三回生まで「演習と基礎実験を履修する要件」とすることを学務係に届けました。この方式が、現在の学科制の「ひな形」となったわけです。
 ところが、教育現場で心理学に何を求めているかの情報交換の場はありませんでしたので、関口は卒業生の方々と相談して、「心理学を学んだ在校生と卒業生の会」を作り、その会で学士論文の発表を行うようにしたのです。これが湖心会の始まりです。さらに、優秀な学士論文の成果は、当時年2回開催していた関西心理学会に在校生と共に参加して発表するようにしていました(現在は年1回の開催)。
 今、湖心会創立から四十余年が過ぎ、多くの卒業生が実社会で活躍しています。湖心会創立当時の気運が少しでも追い風となってくれればいいなあ、と思っています。

 事務局・教室だより

○ 平成21年度の卒業論文、心理学関連修士論文には以下のものがありました。

 <卒業論文>
  小久保幸 「高校生女子における同性友人への同調行動」
  澤村彩奈瑛 「幼児の絵本記憶における構造性,彩色,ならびに基礎知識の効果」
  大師亜紀 「新生児マウスにおける父親とバージン雄との選好に及ぼす刺激効果」
  高橋寛奈 「教師と友人に対する学業的援助要請の心理学的背景について」
  辰巳彰啓 「マウスにおける母子分離が子どものelevated plus mazeでの行動に及ぼす影響」
  田村朋鼓 「アイデンティティ形成における他者との関係性と教師志望との関連について」
  西村真子 「工業高校3年生の進路選択における無力感:「生きる力」の3要素からの検討」
  藤田昌友子 「中学生の非行傾向に及ぼす規範意識、自尊感情とソーシャル・サポートの効果」
  山本美里 「高校生における先延ばし行動と学習目標志向性との関連について」

 <修士論文>
  松井則幸 「中学生の教師に対する信頼感について:教師の関わり方に重点を置いて」
  岸本茂樹 「大学・学部選択動機と大学への適応感の関連 :選択の自律性と大学の教育環境認知にも着目して」
  李 方平 「学業的援助要請行動におよぼす自己決定と自己調整方略の影響 :中国と日本の中学生を対象として」

○ 湖心会会計報告 (2010.4.1〜2011.3.31)
    前年度繰越金    437,250 会費収入    10,000
    会費寄付(安江郁夫様)10,000  <収入の部 457,250 >
    郵便・通信費    42,640 次年度繰越金 414,007  
    消耗品等       603   <支出の部 457,250 >

○ 同窓会費の納入方法が変更になりました。加入時(大学卒業時)に永年会費として
  5000円を一括徴収しております。この金額は、会を最低限維持していける程度のも
  のです。さらに安定的な運営のため、ご寄付をお寄せ下さい。ご協力のほどよろし
  くお願い申し上げます。

○ 事務局へのご連絡には、返事の受け取り方法(郵便/ファックス/eメール)を
  ご指定の上、いずれかでお知らせ下さい。


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