湖心会会報 第36号 抜粋


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 退職にあたり御礼申し上げます

   2013年1月吉日

近藤文良
                                        
 私は昨年12月25日付で滋賀大学を退職しました。定年まであと1年余りでしたが、37年間勤めさせていただいた滋賀大学とお別れすることになりました。あと少しだけなのに、という声もありましたが、私より若くて有能な人材が採用された方が大学にとってよいという判断と、私自身の事情もあって途中退職させていただくことになりました。
 私自身の事情は今年度の同窓会報に詳しく記しましたので、ぜひご覧ください。簡単に申し上げれば、私はこれまで長らく木の魅力(魔力?)にとりつかれ、木を用いた作品作りに休日や平日でも早朝からいそしんでまいりました。木工藝のなかでも挽き物と呼ばれる世界で木のうつわや花器、テーブルランプなどたくさんの種類の生活雑器を作ってきました。幸い多くの人のご支援もあり各地で展示会や販売もしていただきました。その中で木の持つ自然の美しさに感嘆しながら形にしていく仕事については私の全てをなげうってでも成し遂げなければならない宿命のようなものを感じ、これからは真正面から向き合わなくては、との思いを強くした次第です。
 滋賀大学教育学部学校心理コースの先生方や卒業生の皆様には大変お世話になり、私自身のアイデンティティを形成させていただいた最大の恩人と思っています。
 まだ何もわかっていない20代の新米教師が初めて講師として着任して以来、教員として何を講義するべきか、どのように関われば自発性を引き出すことができるのか、どんな研究テーマが必要とされているのか、教師教育にとって教育心理学はどんな意味があるのか、教育実践の場にたつ先生方がいかに人間的な魅力にあふれているのか、必ずしも恵まれていない教育研究環境をどのように工夫すればいいのか、これらの問題はすべて滋賀大学に着任してから私に課せられた課題でした。皆さん方と一緒に卒論研究や修論研究に励む中で日々教えられ、感動を味わわせていただき、考え方を深めることができたと思っています。
 人間という字は人の間と書きますが、学校心理コースの人間関係の中で自分が成長してきたことをまざまざと思い起こします。退職にあたりまして本来ならお一人お一人に御礼のご挨拶を申し上げるところですが、この紙面を借りまして御礼申し上げます。
 学校心理コースと湖心会の皆様のご発展を、心底より祈っております。

 心理学教室に移るにあたって

 井上 毅

 2012年4月より、学校心理専攻(学校心理コース)を担当することになった、井上毅です。どうぞよろしくお願いいたします。滋賀大学教育学部には、1992年4月に着任して、ずっと情報科学課程・情報教育課程の担当をしておりました。着任後しばらくして、「認知心理学(以前の科目名は思考心理学)」を、こちらのコースと共通開講するようになって現在に至りますので、授業でお目にかかった方も結構おられると思います。昨年の4月に学部改組が行われて情報教育課程は募集停止となったため、研究領域の同じこの専攻の方に配置換えになりました。
 私の専門領域は、認知心理学と教育心理学です。京大の大学院にいたときから、人間の知識の記憶に関する研究をずっと続けています。また、知識の獲得は学校教育の主たる目的の1つでもあり、教育心理学の教授・学習の領域に関する研究も行っています。そのほか、日常世界における認知の働きに関わる日常認知の研究も進めています。教員養成の専攻に来たので、今後は教育心理学の研究にもさらに力を注ぎたいと思っています。。



 事務局・教室だより


○ 2012年度の卒業論文、心理学関連修士論文には以下のものがありました。

<卒業論文>
今村有里 高校生における特性自尊感情と学校適応感の関連
梅崎有紀 大学生のアサーション行動と自己提示、自己モニタリングとの関連
小宮貴美子 教員志望者の情動強度が子どもの表情認知に及ぼす影響
鈴木みどり 児童の罪悪感と自己意識の関連に関する発達研究
田中啓介 2日齢と4日齢の新生児マウスにおける親選好の発達的変化
中出大貴 大学生のふれあい恐怖心性に及ぼす場面及び自己意識の影響について
中野亜希 幼児における欲求理解とエピソード的未来思考との関連
古川真実 教育実習前後の教職志望度の変化に関わる要因
村田尚大 中学生における部活動内の先輩・後輩から受けるストレス及びソーシャルサポートと部活適応感
持留恵太 教職への自己決定性が教育実習におけるストレス認知およびストレスコーピングに及ぼす影響

<修士論文>
稲垣寿美 看護学生の自己教育力に関する一考察
張毅明 中国の大学生における達成目標志向性・認知的学習方略及び援助要請方略の関連について
中西由美子 児童の役割取得向上を目的とした教育実践によるレジリエンス育成に関する心理学的研究

○ 事務局へのご連絡には、返事の受け取り方法(郵便/ファックス/eメール)を
  ご指定の上、いずれかでお知らせ下さい。


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