初等教育コース 学校臨床専攻

専攻のコンセプトと設立の趣旨

専攻設立の趣旨

激しい社会変動とともに、子どもの生活世界と育ちが大きく変化してきています。このような状況の中で、さまざまな問題に対応するだけでなく、子どもの学びと育ちを真ん中にすえた柔軟で創造的な授業・学級づくり、その土台となる学校づくりが緊急の課題となっています。

本専攻は、子どもの問題やジレンマを乗り越えて、安心と信頼の中で学び育ちあう授業・学級づくりや学校づくりを担うことができる実践力と見識を持った教師を育てるとともに、学校の今後のあり方を構想できる力をはぐくむことをめざします。

学校臨床専攻とは何か : 三つの視座から

堀江(教育方法学)、芦谷(臨床心理学)、太田(教育社会学)

学校臨床専攻は、三人の専任スタッフと協力教師によって支えられています。「三人の専任」は、下図のようなイメージで、それぞれの立場から学校臨床専攻の教育と研究に向かっています。

Q. 「三つの視座」があることに、どんな意味があるのでしょうか。

Q. 学校臨床の「臨床」とは、どういう意味でしょうか。英語では?

Clinical Pedagogy    学校臨床学
① 病理= 治療モデル・・・・・・  ② 場=問題解決モデル・・・・・・  ③ 事例=批評・創造モデル

カリキュラム構成の原則

本専攻設立の趣旨を活かすために、カリキュラムを構成する五つの原則をたてました。カリキュラムのバックボーンであり、全体をつらぬく願いです。

五つの原則
ア.
学級づくりや学校づくりをすすめる実践力と見識を追求します。
イ.
話す聞く力、読み書く力、協働する力、デザインする力などの基礎力を育みます。
ウ.
カリキュラムに四つの領域、「子どもの現実と理解・支援」、「教室の現実と学び」、「教師の現実と成長」、「学校の現実と学校づくり実践」を設定し、現実を直視しつつ越える方策を考えていけるようにします。
エ.
学校現場を学びのフィールドとし、現場の先生方と協力関係を築きます。
オ.
多面的重層的な意味連関を考察し表現していくツールと環境を整えます。

カリキュラムの中心科目……四年間の学びの軌跡と構造

学校臨床専攻のカリキュラムの流れ(シークエンス)は、「基幹講義」を中心に、さまざまな現場に出会う「実習」と、研究を展開する「演習・研究」から構成されています。講義と実習と演習の相互関連によって、大学四年間の学びが、スパイラルに織りなしていくように考えています。一回生から四回生までの経験は、下図のようになっていくでしょう。

学校臨床専攻では、子どもと教育の現実と可能性を追究すべく、図のように四つの領域(スコープ)をたて、実践力の育成のための「カリキュラムの構造」を創りました。

カリキュラム構造の図

<一回生秋学期・必修の授業科目……その趣旨は……>   ここがスタートです

学校臨床教育入門  (2単位) 堀江・芦谷

子どもと教師がともに学び育つ場としての学校空間が持つ意味は、多面的重層的である。学校臨床では、まず「場-問題解決的アプローチ」で子ども・学級・学校という場に寄り添いながら諸相を理解するとともに、問題の焦点をつくりつつ現実の中で解決に当たっていくアプローチを試みたい。そのことによって、研究的実践家に求められる、「意味へのセンス」、「概念化の力」、「協働力」、「描写力」などを理解するとともに、このコースの性格と方向をつかんでいきたい。

学びのフィールドワーク  (2単位) 堀江、ゲストスピーカー

この科目は、学校教育法に定めるところのいわゆる学校だけではなく、それ以外のさまざまな関連する現場での学びに触れ、それを教育学的にどのように位置づけ解釈するかについて考究していく。現実の場で実践する方たちをゲストスピーカーとして迎え、事実や背景、試みや挫折を聴き取り、関連の書物を読むことによって、ひとつの現場をとおして、抱える困難と社会的文化的背景、実践の可能性を読んでいくことをねらっている。対象となる「現場」については、とりわけいろいろな困難があり、教育問題もシビアーなところを選んでいます。

卒論テーマの例……こういうのが研究できます

学校臨床専攻は、カリキュラムを四つの領域…「子どもの現実と理解・支援」、「教室の現実と学び」、「教師の現実と成長」、「学校の現実と学校づくりの実践」から考えています。それぞれの領域で考えられる研究テーマの一例を挙げておきましょう。

子どもの現実と理解・支援、そして状況を切り開く意味の追究をすすめます

子どもへの関わり方と場づくりが持つ意味―― H適応指導教室のAR
現代の子どもたちにとっての居場所と生活世界…不登校傾向のC君の事例研究を通して
低学年の子どもたちの遊び世界と「ことば」
情緒障害児の不適切な言動に対する共感的理解と教育的指導の効果
いじめと学級生活の現象学的考察
学童保育における遊びのエスノグラフィ
ONE PIECEという世界観の分析 ――私たちの目指す生き方
思春期前期少女たちの集団関係とその意味
インターネットの教育的可能性と陥穽
アスペルガー障害児への関わり方の事例研究

教室の現実と学び、そしてその創造性の研究をすすめます

造形遊びの魅力 …… 触れて、感じて、広がる子ども達の世界
授業中の対話から見る「教師=生徒関係」
「いのちの授業」実践の構造と意味
道徳授業のコミュニケーションの傾向と問題性
造形活動と子どもの想像力の考察
飼育体験が持つ「拡張する学び」の考察……エンゲストロームの活動理論をベースに
教室のコミュニケーションと関係性……コミュニケーション論を手がかりに
教室における「笑い」の教育的意味

教師の現実と成長、そしてこれからを考えます

教師とカウンセラーの「連携」に関する研究
教室における教師の判断・・・・授業後の語りに注目して
教室における教師の「からだとことば」
ケアに軸をおく養護教諭のライフ・ストーリー
教師は「総合的学習の時間」にどう向き合ったか
レッジョ・エミリア幼児教育実践における「記録」の意味

学校の現実と学校づくり実践、そしてその未来のあり方を構想します

ニューカマーの子どもが生きる学級生活と教師による子ども理解
教師たちの同僚性が創る学校の事例
学校づくり実践と継承の事例研究……あるパイロットスクールのケース
学校建築の特性と子どもの行為・・・・・一つの小学校での観察から
米国におけるチャータースクールの事例研究……その可能性と陥穽
子育て支援センターと学校の役割
C.フレネの教育実践思想と学校の構造

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