障害児教育コース 障害児教育専攻

障害児教育コースとは

本コースでは、知的障害児、自閉症児、AD/HD児、学習障害児、肢体不自由児、病弱・虚弱児などの教育に携わる教員の養成をめざしています。旧来の「特殊教育」は「特別支援教育」と大きく変化しました。そして、障害のある子どもたちの教育の場は、特別支援学校(養護学校など)、特別支援学級(障害児学級)、通級指導教室、通常学級へと広がりました。また、放課後生活、就学前保育・教育、卒業後の生活や労働の保障など、生まれ育つ地域での一貫した取り組みがますます重要になっています。本コースでは、障害児教育、障害児心理、障害児病理、障害児福祉の分野について総合的に学べるカリキュラムを用意しています。

障害児教育コースでとれる資格

特別支援学校教員の免許(本コースでは「主免」となります)を取得するためには、「基礎免」といって、小学校や中学校、高校、幼稚園などのいずれかの教員免許も必要です。本コースでは、卒業と同時に、特別支援学校教諭一種免許の他に、小学校一種免許または中学校一種免許を取得することができます。

他にも必要な単位を取得することによって、「副免」として、小学校基礎免の人は中学校免許、中学校基礎免の人は他の教科の免許や小学校免許、また、幼稚園免許や高校免許、さらには保育士資格などもとることができます。


実習風景より

スタッフ紹介

障害児教育コースの教員スタッフは4名です。

白石惠理子(教授)――障害児教育

「障害児・者のライフサイクルと教育実践、発達保障実践」が研究テーマです。障害のある人の発達を軸に、幼児期から学齢期、青年・成人期、高齢期まで、各ライフステージで大切なことを学校や福祉の実践現場と結びつきながら研究しています。現在、附属特別支援学校の校長をしています。


江原寛昭(教授)――障害児病理

「小児科、特に小児神経疾患」が専門です。先天異常、染色体異常症(ダウン症候群など)、遺伝性小児神経疾患、疫学、重症心身障害などを研究しています。講座の中で唯一の「理系」教員です。講義では病気の生物学的背景を重視していますが、ゼミではそれに拘らず、広く障害全般を対象にしています。


窪田知子(准教授)――障害児教育

「インクルーシブ教育」「特別支援教育と発達相談」が研究のテーマです。障害のある子どもとない子どもが共に学び共に育つ学校教育のあり方について研究しています。また、大学と教育現場を往復しながら、障害のある子どもたちが生き生きと楽しく学べる授業づくり、安心して通える学校・地域づくりについても考えています。


松島明日香(講師)――障害児心理

「知的障害や自閉症を抱える人の発達的理解」を研究テーマにしています。発達の多様性や動態をどのように捉えて、障害のある人への教育実践につなげていくかを考えています。また、自閉症児者を対象に発達と障害を視野に入れた集団活動や集団あそびを支える療育・教育プログラムの開発にも取り組んできました。

カリキュラム紹介

障害児教育コースの専門の授業について、学年を追って紹介します。

1回生・秋

障害児教育入門(江原):障害児教育に将来携わっていく上で必要な障害児教育に関する基礎知識を学習します。文献の読み方・探し方、レポートの書き方、班ごとの発表・討論等を通して、大学での基本的な学習能力を培います。

障害児教育概論(新任):障害児教育の目的、理念をふまえ、障害児教育の教育課程・方法についての特徴と課題について概説します。また、通常学校(学級)で取り組まれている特別支援教育についても解説します。

2回生・春

障害児教育研究法(松島):レポート・論文の書き方、統計的方法、心理学実験、知能検査と性格検査、観察法などの障害児研究にかかわる研究方法を学び、レポートとしてまとめる力を養います。

インクルージョン教育論(窪田):すべての子どもの学習権と発達権を保障するインクルーシブな教育とはどのようなものか、ノーマライゼーション・特別なニーズ教育(SNE)・インテグレーション・インクルージョン・発達保障などをキーワードに、国内および国際的な動向を把握します。

軽度発達障害児の心理と支援(窪田):普通学級には軽度の障害をもった子どもたちがいますが、先生方は、どう指導していけばよいのか悩んでいます。本授業では、脳と心の関係を明らかにする研究領域から、障害の心理学的理解と支援について講義します。

知的障害児の健康と医療(松島・江原):知的障害、自閉症、学習障害などの発達障害について、その原因や病態、健康など生物学的・医学的な視点から学びます。また、それぞれの障害特徴や障害の早期発見・対応などについても講義します。

肢体不自由児の健康と医療(江原):障害の重度化に伴い、障害を持つ子ども達への支援に医学的知識や医療との連携が求められる機会が増えています。本講義では、脳性麻痺、発達障害、てんかんなどの様々な小児神経疾患の病態や医療について学びます。

2回生・秋

障害児発達心理学(白石):重症心身障害、知的障害、自閉症などの子どもたちの心理や行動、生活を発達的に理解する視点、コミュニケーションで留意すべきこと、「自立」等について、できるだけ具体的実践や事例と結びつけて考えます。

病弱児の健康と医療(江原):教育的支援を必要とする病弱・虚弱児の背景疾患は、医療・保健の進歩や社会環境など、時代とともに変化を遂げてきており、病弱児教育の現場に求められる知識もより多様化しています。心疾患、腎疾患、アレルギー疾患などの慢性疾患を中心に、主要疾患の医学的側面を講義します。

視覚と聴覚の障害視覚障害、聴覚障害のそれぞれについて、長年、視覚障害教育(盲教育)、聴覚障害教育(ろう教育)に携わってこられた先生たちから学びます。

3回生・春

発達臨床研究(松島):発達的視点をもって障害のある子を理解することはとても大切です。この授業では発達の時期に応じた特徴と基本課題を押さえた上で、発達段階ごとに生じやすい様々な問題とその対応について学びます。

知的障害教育(白石 他):知的障害児にかかわる教師には、教育課程・内容を自主的・創造的に編成できる力量が求められます。いわゆる「教科書」がないことも多いからです。ここでは、知的障害児の教育課程・内容編成の基本をおさえた上で、教材づくり、授業づくりの視点を講義します。

3回生・秋

病弱教育(白石 他):病弱児と聞くと「弱い」というイメージや、「病気が治ってから勉強すればいい」という考えられがちです。でも、本当にそうでしょうか。病弱児教育とは何か、深めていきましょう。後半では、障害児本人の自己認識や障害・疾病理解、さらには障害のない子どもたちの障害理解や交流教育についても考えます。

肢体不自由教育(白石 他):日本の障害児教育において、肢体不自由児に対する教育がどう発展してきたか、現状と課題は何か、教育課程や教育内容はどうなっているのか、さらに重症心身障害児の教育について講義します。

障害児教育史(新任):障害児教育の歴史の基本的な事項について講義します。滋賀の障害児教育の礎を築いた糸賀一雄や近江学園についても学びます。

そして、3回生ではいずれかの教員の「演習」を受講します。卒論を書くために、それぞれの学生が問題意識を見出し、深めていく場となります。

教育実習紹介

本コースの学生は、3回生で、附属小学校または附属中学校で「基礎免」の実習、さらに附属特別支援学校での障害児教育実習があります。ここでは、附属特別支援学校関係の実習について、詳しく述べます。

まず、1回生秋に、附属特別支援学校で「観察実習」があります。「朝の会」や授業を観察します。1、2回生での「交流実習」では、実際に子どもたちとふれあったり、先生たちの授業準備を手伝ったりしながら、特別支援学校の児童・生徒や先生との交流をします。また、観察児童を決めて行動観察をし、その子の姿、コミュニケーション等の特徴についてとらえ、教育課題について考えます。さらに、2回生の冬には、3回生実習の事前学習的な位置づけで、実際に教材作りや授業も行います。

そして、3回生で3週間の教育実習となります。附属特別支援学校には小学部、中学部、高等部とありますから、そのどこかで実習を行うことになります。子どもたちは、実習生の「若い先生」が大好きです。障害のある児童・生徒のなかには、ことばなどで自分の思いを伝えることが苦手であったり、すぐにコミュニケーションをとることが難しかったりする場合もあります。そんな子どもたちの姿に、はじめはとまどうことも多いでしょう。でも、どの子も「本当は○○したいんだ」「自分を受け止めてほしいな」という思いをもっています。3週間のつきあいのなかで、その思いにふれることができたとき、ことばでは簡単にあらわすことのできない喜びにも出会えるでしょう。障害のある子どもたちが、自らの障害ともたたかいながら、自分の力を精一杯発揮しようとする姿に励まされることも多いはずです。ぜひじっくりと、子どもたちと向き合ってほしいと思います。

なお4回生では、「発展実習」として、行事全体をサポートする実習や、知的障害以外の子どもたちの学校での実習も予定しています。

附属特別支援学校紹介

大津市内の唐崎というところにあります。京阪大津線(石坂線)の「滋賀里」駅から徒歩10分です。附属特別支援学校には、知的障害や自閉症などの発達障害の児童・生徒たちが学んでいます。小学部から高等部まで、6歳から18歳までの子どもたちが通っています。知的障害、発達障害と一口に言っても、その障害や発達状況は多様で、一人ひとりをていねいに理解することから教育ははじまります。また、障害や発達状況が同じであっても、生活年齢が異なれば、子どもの興味や関心も変わっていきます。

通常の教育では、主として「教科書」を使って授業を展開していくことになりますが、障害児教育では、先生たちが、子どもたちにどんな力をつけてほしいのか、もっている力を豊かに発揮できるためにはどうしたらいいのかをじっくり考え、手作りで教材を用意し、子どもたちの声や思いを大切にしながら、授業をすすめていくことも多くなります。「一人ひとりを大切にする教育」について学ぶと同時に、障害の重い子も含めて、仲間と一緒にすごす楽しさや、友だち同士で学び合っている姿にも出会うことでしょう。

卒論テーマ紹介

本コースでは、3回生の春から、いずれかの先生のゼミ(障害児教育演習、障害児心理演習、障害児病理演習)に所属し、卒論研究に取り組むことになります。研究方法はさまざまですが、特別支援学校、特別支援学級、学童保育、障害者施設、就学前の通園施設、保育所などを直接のフィールドにして、実際に子どもたちにふれて卒論研究をすすめる人が多いのが特徴です。以下、先輩の卒論テーマの一部を紹介します。

卒業後の進路

特別支援学校か小学校の教員になる学生がほとんどです。滋賀県では、特別支援学校教員は小学校・中学校教員とは別の採用です。都道府県によって採用形態が異なります。特別支援学級教員というのは、「特別支援学級教員」として別個の採用があるわけではなく、それぞれの小学校・中学校での校内人事で決まります。教員以外では、大学院への進学、保育士、福祉関係(障害者施設など)等の進路にすすんでいます。

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