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進行中の仕事


1.ブロンテ受容史研究

 いま、翻訳がブームです。ハリー・ポッターのおかげでしょうか。童話の

名作として知られる『星の王子さま』も、ここに来て
種類もの新訳が登場

しました。
1950年代に若者ことばの新鮮さで衝撃を与えた『ライ麦畑でつか

まえて』(野崎孝訳)も、村上春樹の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』へ

と衣替えです。他にもめぼしい文学作品が次々と訳し直されています。翻訳

大好き人間としては、これはやはり読み比べずにはいられません。


 私の専門はヴィクトリア朝のブロンテ姉妹です。『ジェイン・エア』や『

嵐が丘』の作者たちと言ったらわかるでしょうか。彼女たちが日本にどのよ

うに紹介され読まれたのか、また翻訳がどのようにして生まれたのかを、現

在の研究テーマにしています。

 ブロンテ姉妹の名前を最初に紹介したのは『女学雑誌』(
1886<明治

19年>
)でした。ところが『ジェイン・エア』が抄訳「理想佳人」として読

者の目に触れたのは、それからさらに
10年後。全訳が登場して一般読者が読

めるようになったのは、なんと
1930<昭和5年>。この半世紀のあいだに、

Jane Eyre
はどのように形を変え日本の読者に受け入れられていったのか、

それを
当時の雑誌新聞、研究書などの記事を拾いながら跡づけているところ

です。
(もっと詳しく読む)



2.F. V. ディキンズ研究


 F. V. ディキンズ(1838-1915)の名を知る人はけっして多くはないでしょう。

けれどもアーネスト・サトウと同じ頃に来日し、生涯の親友であり、ロンド

ン時代の南方熊楠とは晩年まで文通を続けた人となれば、もっと知られても

良さそうなものです。じつは彼こそ『百人一首』『万葉集』を英訳し、横浜

時代には弁護士として辣腕を振るった人物なのです。ましてや彼が熊楠と交

わした手紙
50通、サトウと交わした手紙74通が判読もされずに残っているの

ですから、これは基礎資料を整える意味でも翻刻しなければなりません。現

在、これらの書簡をケンブリッジ大学日本講座のコーニッキ教授と共同研究

を進めているところです。



(出版のお知らせ) この共同研究が出版されました。岩上はる子&ピーター・コー

ニッキ(編集・解説)F. V. ディキンズ書簡英文翻刻・邦訳集、2011年7月、エディシ

ョン・シナプス社刊。
(価格 26,040円)