eiji yoshikawa laboratory
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miscellaneous
滋賀大学 赴任直後は国立大学の性情と独特なローカリティーにカルチャー・ギャップをおぼえましたが、1年も経たぬうちに感染してしまいました。ありがちな情実や学内抗争にも無縁で、こまかい不満を並べればきりがありませんが、そこそこ快適な大学です。
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苔のむすまで 私がいるのは教育学部ですが、日本の首都の雲行きがおかしいせいで、地方まで奇妙なご時勢になってきまして、教員採用試験でも当たり前のように質問されるようになりました。私も人生の過半を東京で過ごしましたので、都庁舎のご立派さと都民各位の民度の高さは承知していますが、学生たちが社会の入口で踏み絵を踏まされるような状況には、責任の一半を感じてほしいものです。
 
COLUMN
少し講釈を。「君が代」の初出は『古今集』です。初句は「我が君は」で、少し後の『新撰和歌』『古今六帖』でも同様でして、「君が代」に変化したのは『和漢朗詠集』に収載される10世紀末と思われます。歌詞が変容しやすい伝承歌であった訳で、40歳、50歳というきりの良い年齢で催される算賀の折に歌われたものですが、普段恩顧をかけられた主人筋の人物を「死ぬほど生きてね」とヨイショする歌ですから、表現が類型的かつ誇張に過ぎてそらぞらしいのは当然なのです。『和歌体十種』では神楽歌などとともに「神妙体」に上げられていますが、『古今集』賀部巻頭歌という位置と賀祝歌という属性による形式的分類のように思われますし、室町小唄や御伽草子にも顔を出すところを見ると、本来は庶民的なめでたい歌で、仰山な扱いは本人も迷惑であろうと思われます。
熊とダンス 6年前に出張で釧路へ行き、北海道に魅了されました。真冬の道東は魂を清冽にします。昨年訪れた際にはネイチャーガイドの方から、うっかり熊と出会ったら戦うしかないと聞きました(向こうは遊びだとか)。うまくいけば骨折くらいで済むかもしれないと。熊は動くものに反応するので、真っ先に逃げた人が犠牲になるそうです。死んだふりをすると、遊ばれてほんとに死ぬとか。
貧者の狂宴 私の学部は、この数年で大学統合・教員養成再編・法人化という3つの波をくぐりました。物事の本質からはかけ離れた乱痴気騒ぎだったように思いますし、教育や学術に関心のない世間・マスメディアからもあらかた無視されましてありがとうございます。「米百俵」の総理大臣が教育問題にとんと無関心なお蔭と、法人への移行過程のゴタゴタでただいま「小康状態」ですが、予算締めつけの金欠病でただちに「焼香状態」へ遷移せぬよう、教員は力を尽くしています。
 
COLUMN
分速5,000万円の猛スピードで日本国の債務は増え続けているそうですから、現今の状況はやむをえない気もしますが、毎年1,000人近くを世に送り出す我が大学の年間予算はたったの60億円弱で、その8割は給料ですから研究室の網戸1枚修理できません。さて、空自の主力戦闘機F15イーグルと潜水艦を探すだけのP-3Cはどちらも1機100億円で、合わせて300機。コスト・パフォーマンスだけなら自衛隊に勝てそうです。
鼻がくの字 その昔、高校の柔道の授業で鼻骨を脱臼しました。数秒間意識を失いまして、覚醒すると鼻梁がほぼ90度曲がっています。耳鼻科に行くと「すぐ治る」とのことでホッとしたのもつかのま、看護婦が木槌と杭を持って来まして、棒にタオルを巻いて口にかませ、狭くなった方の鼻孔に杭を差し込みます。なるほどテコの原理かと納得しつつ、再度気を失いかけましたが、医師は果断かつ躍動的に木槌を揮い、鼻筋をまっすぐにもどしてくれました。それ以来、腕力のある医者とハンマーは嫌いです。
沈黙の子羊 自由競争と弱肉強食のアメリカでは、学生の7割が日本の国立大学よりも学費の安い州立大学に通っているそうです。日本の学生の75%は、アメリカの州立大よりはるかにコストの高い日本の私立大学に通っているので、日本はアメリカ以上にワイルドな資本主義の権化と言ってよさそうです。もっとも、国際人権規約に定める高等教育の無償化を批准していないのは、151の締約国のうち日本・ルワンダ・マダガスカルだけだそうですから、アメリカよりアフリカに近いのかもしれません。ルワンダもマダガスカルも世界最貧国の一つなので、日本人は世界一高い学費を支払っている太っ腹な貧乏人というところでしょうか。
  以下次号...
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