
徳田学部長
滋賀大学教育学部は,1875年(明治8年)に設立された滋賀県師範学校を出発点とし,以来150年近くの長きにわたって,滋賀県をはじめ各地に優秀な教員を送り出し,地域社会の発展に貢献してきました。教育は「人が人を育てる」仕事。時代がどのように変わろうと,人でなければできない仕事だと思う。これは,滋賀大学教育学部を卒業した小学校教師の言葉です。コンピューターの発達は著しく,これからはあらゆる分野で人工知能を活用する時代になりつつあります。そんな時代だからこそ,人にしかできない教育が重要といえます。
学校の先生は忙しすぎて大変だと聞くことがあるかもしれません。確かにそうかもしれません。でも,皆さんの先生の姿を思い起こしてみてください。生徒の成長に寄り添い,ともに泣き,ともに笑っていた先生は輝いていたのではないでしょうか。教師とは,責任は重い仕事ですが,やりがいがあり楽しい仕事です。
教師を目指す皆さんを育てるカリキュラムは3本の柱からなっています。大学入門科目からはじまり,教員としての基礎的力を身につける基本カリキュラム,多様な教育体験を積み,実践力を育てる教育参加カリキュラム,そして個々の学生が得意分野を深め自信をもって教壇に立つための得意分野育成カリキュラムです。さらに,滋賀県の学校教育を長くリードしてこられた本学OB陣や教職員による手厚い就職支援や,地域の学校・教育委員会と連携して地域全体で皆さんを育てる体制も整えています。その成果は教員就職実績にはっきりと現れています。全国の教員養成系国立大学・学部の中でも良好な結果を残しています。特に正規教員採用率は毎年上位に位置しています。
令和の学校教育では,全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと,協働的な学びの実現が求められています。このような学びを促せる教師は自分自身が学び続ける存在でなければなりません。皆さんには生涯にわたって様々なことに興味を持ち続け,色々な知識を身につけ続けることを期待します。
また,高等学校までの勉強からの脱皮も期待します。高等学校までは,教科ごと科目ごとに分けて勉強してきました。もちろん基礎力を身につけるために必要な方法ですが,現実の世界はどうでしょうか。例えばスマートフォンを作る時に,これは化学でこれは物理でこれは数学だと分けて考えるでしょうか。むしろ現実の世界は一体的ですね。現実の世界を理解するには,様々なことを総合的に「学ぶ」必要があります。皆さんは様々な授業で幅広い知識を身につけて,卒業研究では正解があるかどうかもわからない課題に取り組みます。その過程で大学ならではの「学び」を知り,社会に出た時の大きな武器となるはずです。本学部には,様々な分野で活躍する教員が在籍しています。皆さんが本学部教員の授業や研究から大きな刺激を受け,大いに成長することを願っています。