1 目標
人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて、広い視野に立って、現代の社会と人間についての理解を深めさせ、現代社会の基本的な問題に対する判断力の基礎を培うとともに自ら人間としての在り方生き方について考える力を養い、良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 現代社会における人間と文化
現代世界における文化の多様性・複合性に着目させるとともに日本の生活文化と伝統について理解させ、異なった文化への理解を深めさせる。また、現代社会の特質とそこに生きる人間について理解させるとともに、現代における青年期の課題について自覚を深めさせる。
ア 風土と生活
様々な民族から成る世界には、それぞれの風土や宗教などに根ざした多様な文化が存在し、その中で人間生活が営まれていることを理解させるとともに、文化交流について考えさせ、文化の共通性にも気付かせる。
イ 日本の生活文化と伝統
日本の生活文化と伝統を理解させ、それらが行動の基盤になっていることを考えさせることにより自己理解を深めさせるとともに、人生における宗教や芸術の意義について考えさせる。
ウ 現代社会の特質と青年期の課題
大衆社会、高齢化社会、情報化社会など現代社会の特質を理解させ、それとの関連で学ぶことの意義及び青年期における自己形成の課題について認識を深めさせ、進路の選択と併せてよく生きることと生きがいの追求について自覚を深めさせる。
(2) 環境と人間生活
環境と人間生活とのかかわりについて理解させるとともに、環境にどうかかわて生きるかについて考えさせる。
ア 環境と生活
科学技術の発達、資源・エネルギーの需給、都市化の進展及び人口の動きなどを理解させ、環境と生活とのかかわりについて考えさせる。
イ 環境保全と倫理
人間が生態系の中で生存していることに着目させて公害の防止など環境保全の重要性を理解させ、自然と人間の調和の在り方について考えさせるとともに、科学的なものの考え方と哲学的なものの考え方について理解させ、諸問題への対処の仕方について考えさせる。
(3) 現代の政治・経済と人間
国民の生活が経済や政治と密接にかかわっていることを理解させるとともに、国民生活の向上と民主化の進展について考えさせ、民主社会の倫理について自覚を深めさせる。
ア 地域社会の変化と住民の生活
地域社会の変化に着目させ、地方自治と住民福祉について理解させ、住民の生活と政治・経済の動きとのかかわりについて考えさせるとともに、地域社会の一員としての自覚を深めさせる。
イ 国民福祉と政府の経済活動
現代の市場と企業、技術革新などと情報化や国際化の進展について理解させ、我が国の経済社会の変化について考えさせる。また、国民所得の動き、産業構造の変化、雇用問題と労働関係、消費者保護と契約、社会保障の充実、社会資本の整備などについての理解を深めさせるとともに、公的部門の役割と租税の意義について考えさせ、国民生活の向上と福祉の増大に対する認識を深めさせる。
ウ 日本国憲法と民主政治
基本的人件の保障と法の支配、国民主権と議会制民主主義、平和主義と我が国の安全についての理解を深めさせ、日本国憲法の基本的原則について国民生活とのかかわりから認識を深めさせる。また、世界の主な政治体制の動向に触れながら、世論形成と政治参加の意義について理解させるとともに、民主政治における個人と国家について考えさせる。
エ 民主社会の倫理
生命の尊重、自由・権利と責任・義務、人間の尊厳と平等などについて考えさせ、民主社会において自ら生きる倫理について自覚を深めさせる。
(4) 国際社会と人類の課題
国際的な相互依存関係の緊密化に伴う国際社会の変化及び日本経済の国際化について理解させ、国際秩序の形成・維持と平和の実現及び生活の向上と福祉の増大が人類の課題であることを把握させるとともに、これからの国際社会における日本の役割及び日本人の生き方について考えさせる。
ア 国際政治の変化
国家主権と国際法、国際連合と集団安全保障、国際社会の多極化と国際的相互依存関係の深化など国際社会の特質と動向について理解させるとともに、我が国の安全保障と防衛について考えさせる。
イ 国際経済の動向と国際協力
経済における世界的な相互依存関係の緊密化、南北問題などの世界的な課題、日本経済の国際的なかかわりなどについて理解させ、世界の経済体制の動向に触れながら、国際協力の意義について考えさせる。
ウ 人類の課題
人権、領土などに関する国際法、地域紛争と国際秩序の形成・維持、人種・民族問題、核兵器と軍縮問題など国際平和を推進する上での課題について理解させ、これからの国際社会における人類の連帯の意識を認識させ、国際社会における日本の役割及び日本人の生き方について考えさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目、地理歴史科、家庭科及び特別活動などとの関連を図るとともに、項目相互の関連に留意しながら、全体としてのまとまりを工夫し、特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し、できるだけ相互的な視点から理解させ考えさせるとともに、生徒が主体的に自己の生き方にかかわって考えるよう学習指導の展開を工夫すること。
ウ 科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
エ 的確な資料に基づいて、社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに、学び方の習得を図ること。その際、統計などの資料の見方やその意味、情報の検索や処理の仕方、簡単な社会調査の方法などについて、具体的、実際的に指導するように留意すること。
オ 政治及び宗教に関する事項の取扱いについては、教育基本法第8条及び第9条の規定に基づき、適切に行うこと。
(2) 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、次の事項に留意するものとする。
(ア) 「青年期における自己形成の課題」については、青年期の心理的、社会的な問題、適応と個性の形成などについて理解させるとともに、生涯にわたる学習の意義について考えさせるようにすること。
(イ) 「進路の選択」については、自己の人生と職業生活及び余暇について考えさせるよう工夫すること。
イ 内容の(2)については、自然環境とともに社会環境も取り上げ、人間生活とのかかわりについて考えさせること。
ウ 内容の(3)については、民主政治の展開と経済発展とのかかわりにも気付かせるようにすること。
エ 内容の(4)については、単なる制度や機構に関する細かな事柄の学習に終わらないようにするとともに、国際政治と経済とのかかわりに関心をもたせるようにすること。
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1 目 標
人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさせ,現代社会の基本的な問題について主体的に考え公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考える力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
2 内 容
(1) 現代に生きる私たちの課題
現代社会の諸問題について自己とのかかわりに着目して課題を設け,倫理,社会,文化,政治,経済など様々な観点から追究する学習を通して,現代社会に対する関心を高め,いかに生きるかを主体的に考えることの大切さを自覚させる。
(2) 現代の社会と人間としての在り方生き方
現代社会について多様な角度から理解させるとともに,青年期の意義,経済活動の在り方,政治参加,民主社会の倫理,国際社会における日本の果たすべき役割などについて自己とのかかわりに着目して考えさせる。
ア 現代の社会生活と青年
大衆化,少子高齢化,高度情報化,国際化など現代社会の特質と社会生活の変化について理解させる。また,生涯における青年期の意義と自己形成の課題について考えさせるとともに,自己実現と職業生活,社会参加に触れながら,現代社会における青年の生き方について自覚を深めさせる。
イ 現代の経済社会と経済活動の在り方
現代の経済社会における技術革新と産業構造の変化,企業の働き,公的部門の役割と租税,金融機関の働き,雇用と労働問題,公害の防止と環境保全について理解させるとともに,個人と企業の経済活動における社会的責任について考えさせる。
ウ 現代の民主政治と民主社会の倫理
基本的人権の保障と法の支配,国民主権と議会制民主主義,平和主義と我が国の安全について理解を深めさせ,日本国憲法の基本的原則について国民生活とのかかわりから認識を深めさせるとともに,世論形成と政治参加の意義について理解させ,民主政治における個人と国家について考えさせる。また,生命の尊重,自由・権利と責任・義務,人間の尊厳と平等,法と規範などについて考えさせ,民主社会において自ら生きる倫理について自覚を深めさせる。
エ 国際社会の動向と日本の果たすべき役割
世界の主な国の政治や経済の動向に触れながら,人権,国家主権,領土に関する国際法の意義,人種・民族問題,核兵器と軍縮問題,我が国の安全保障と防衛,資本主義経済と社会主義経済の変容,貿易の拡大と経済摩擦,南北問題について理解させ,国際平和や国際協力の必要性及び国際組織の役割について認識させるとともに,国際社会における日本の果たすべき役割及び日本人の生き方について考えさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科及び特別活動などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,社会的事象に対する関心をもって多様な角度から考えさせるとともに,できるだけ総合的にとらえることができるようにすること。また,生徒が自己の生き方にかかわって主体的に考えるよう学習指導の展開を工夫すること。
ウ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし,細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
エ 的確な資料に基づいて,社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに,学び方の習得を図ること。その際,統計などの資料の見方やその意味,情報の検索や処理の仕方,簡単な社会調査の方法などについて指導するよう留意すること。また,学習の過程で考えたことや学習の成果を適切に表現させるよう留意すること。
オ 政治及び宗教に関する事項の取扱いについては,教育基本法第8条及び第9条の規定に基づき,適切に行うこと。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) 内容の(1)は,この科目の導入としての性格をもつものであることに留意し,課題を追究する学習に当たっては,高度な内容に深入りすることは避け,この科目の学習の動機付けや学び方の習得に重点を置いた工夫を行うこと。
(イ) 現代社会の諸問題については,地球環境問題,資源・エネルギー問題,科学技術の発達と生命の問題,日常生活と宗教や芸術とのかかわり,豊かな生活と福祉社会などから,地域や学校,生徒の実態に応じて,二つ程度を選択して取り上げ主体的に課題を追究させるよう工夫すること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アの大衆化,少子高齢化,高度情報化,国際化については,これらのうちから生徒の実態等に応じて二つ程度を選択して学習させること。生涯における青年期の意義と自己形成の課題については,生涯にわたる学習の意義についても考えさせること。また,職業生活,社会参加については,男女が対等な構成員であることに留意して触れること。現代社会における青年の生き方については,日本の生活文化や伝統とのかかわりについても考えさせること。
(イ) ウについては,地方自治にも触れながら政治と生活との関連について認識を深めさせること。また,民主社会において自ら生きる倫理については,個人と個人,個人と社会との関係に着目して考えさせること。
(ウ) エについては,制度や機構に関する細かな事柄の学習にならないようにすること。
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