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中学校学習指導要領(第2節社会)の新旧比較(左:平成元年、右:平成十年版)
第1 目 標
広い視野に立って、我が国の国土と歴史に対する理解を深め、公民としての基礎的教養を培い、国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。 |
広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。 |
第2 各分野の目標及び内容
1 目標 |
1 目 標 (1) 日本や世界の地理的事象に対する関心を高め,広い視野に立って我が国の国土の地域的特色を考察し理解させ,地理的な見方や考え方の基礎を培い,我が国の国土に対する認識を養う。 2 内 容 (1) 世界と日本の地域構成 ア 世界の地域構成 (ア) 地球上の位置関係と水陸の分布 イ 日本の地域構成 (ア) 日本の位置と領域 (2) 地域の規模に応じた調査 ア 身近な地域 (3) 世界と比べて見た日本 ア 様々な面からとらえた日本 (ア) 自然環境から見た日本の地域的特色 イ 様々な特色を関連付けて見た日本 3 内容の取扱い (1) 内容の(1),(2)及び(3)については,この順序で取り扱うものとし,また,一部の項目に偏り過ぎないようにするものとする。 ア 地埋的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。また,地域に関する情報の収集,処理に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するなどの工夫をすること。 (3) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アの(ア)については,世界地図の投影法などの高度な内容は取り上げないこと。また,緯度と経度,時差などについては単に数量的な取扱いにとどめることなく,生徒の関心を高める工夫をすること。 (4) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア ア〜ウについては,各項目を比較し関連付けて取り扱い,地域の規模に応じて地域的特色をとらえる視点や方法が異なってくること,それに伴って地理的なまとめ方や発表の方法も工夫が必要であることなどに留意し,地域の規模に応じた調べ方,学び方を身に付けさせるようにすること。 (5) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アの(ア)〜(オ)で示した日本の地域的特色については,多面的・多角的に取り扱うよう配慮し,必要最小限の事柄で構成すること。 |
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1 目標 |
1 目 標 (1) 歴史的事象に対する関心を高め,我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ,それを通して我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる。 2 内 容 (1) 歴史の流れと地域の歴史 ア 我が国の歴史について,関心ある主題を設定しまとめる作業的な活動を通して,時代の移り変わりに気付かせるとともに,歴史を学ぶ意欲を高める。 (2) 古代までの日本 ア 人類が出現し,やがて世界の古代文明が生まれたこと,また,日本列島で狩猟・採集を行っていた人々の生活が農耕の広まりとともに変化していったことを理解させる。 (3) 中世の日本 ア 武士が台頭し武家政権が成立したこととその後の武家社会の展開を鎌倉幕府の成立,南北朝の争乱と室町幕府,応仁の乱後の社会的な変動を通して理解させるとともに,元寇,日明貿易,琉球の国際的な役割など,その間の東アジア世界とのかかわりに気付かせる。 (4) 近世の日本 ア 戦国の動乱とその時期のヨーロッパ人の来航について理解させるとともに,その文化の伝来が我が国の社会に及ぼした影響について考えさせる。 (5) 近現代の日本と世界 ア 市民革命や産業革命を経た欧米諸国のアジアへの進出を背景に,開国とその影響について理解させる。 3 内容の取扱い (1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。 ア 生徒の発達段階を考慮し,抽象的で高度な内容や複雑な社会構造などに深入りすることは避けるとともに,各時代の特色を表す歴史的事象を重点的に選んで指導内容を構成することにより,細かな知識を記憶するだけの学習に陥らないようにすること。なお,年代の表し方や時代区分についても基本的な理解を得させるようにすること。 (2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アについては,小学校における学習を踏まえ,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。取り上げる主題は幾つかの時代にまたがるものとし,各時代ごとの細かな事象への深入りを避けるようにすること。 (3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アの「世界の古代文明」については,中国の古代文明を例として取り上げ,生活技術の発達,文字の使用などに気付かせるようにすること。また,稲作が大陸から日本列島に伝わったことについて気付かせるようにすること。 (4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アについては,武家政治の特色をとらえさせるようにし,「武家社会の展開」については,土地制度などの細かな史実や政治機構の詳細などに深入りしないようにすること。 (5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アの「ヨーロッパ人の来航」の背景については,新航路の開拓を中心に取り扱い,宗教改革については深入りしないようにすること。 (6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アの「市民革命」や「産業革命」については,代表的な一,二の国の例を取り上げて扱うようにすること。「欧米諸国のアジアへの進出」については,近代社会の成立の下,新たな市場や原料,植民地を求めてアジアにも進出したものであることを欧米諸国の事例を選んで取り上げるようにすること。ただし,これらは我が国の歴史を理解するための背景として取り扱うにとどめ,各事象の詳細にわたらないようにすること。 |
1 目標 (1) 個人の尊厳と人権の尊重の意義、特に自由・権利と責任・義務の関係を広い視野から正しく認識させ、民主主義に関する理解を深めるとともに、国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を培う。 (2) 民主政治の意義、国民の生活の向上と経済活動とのかかわり及び現代の社会生活における個人の役割などについての理解を深めるとともに、社会の諸問題に着目させ、自ら考えようとする態度を育てる。 (3) 各国が相互に主権を尊重し、各国民が協力し合うことによって、世界の平和を維持し人類の福祉に貢献できることを認識させ、国際協調の精神を養うとともに、自国を愛し、その平和と繁栄を図り文化を高めることが大切であることを自覚させる。 (4) 社会的事象を確実な資料に基づいて様々な角度から考察し、事実を正確にとらえ、公正に判断する能力と態度を育てる。 2 内容 |
1 目 標 (1) 個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務の関係を広い視野から正しく認識させ,民主主義に関する理解を深めるとともに,国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を培う。 2 内 容 (1) 現代社会と私たちの生活 ア 現代日本の歩みと私たちの生活 (2) 国民生活と経済 ア 私たちの生活と経済 (3) 現代の民主政治とこれからの社会 ア 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 3 内容の取扱い (1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。 ア 地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された能力や態度が,更に高まり発展するようにすること。また,社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまりのある学習が展開できるようにすること。 (2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (ア) 地理的分野,歴史的分野との関連を図り,世界と比べて見た日本や高度経済成長以降の我が国の節目となる歴史的事象についての学習を踏まえ,現代日本の様々な事象について身近な生活と関連付けて理解を深めることができるよう工夫を行うこと。 イ イについては,身近な社会集団として家族,学校,地域社会などを取り上げるとともに,個人が結び付いて社会が生まれ,社会生活が営まれていることを理解させ,社会生活を円滑にするために互いの合意に基づいてルールがつくられていることなど,日常の具体的な事例を取り上げて考えさせること。 ウ ア及びイについては,公民的分野の導入部として位置付け,適切かつ十分な授業時数を配当すること。 (3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アについては,網羅的で高度な取扱いにならないよう特に配慮するとともに,身近で具体的な事例を取り上げ,経済活動が様々な条件の中での選択を通じて行われるという点に着目させて,市場経済の基本的な考え方を理解させること。また,「金融の働き」については,具体例を取り上げて理解させること。 (4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。 ア アについては,日本国憲法の基本的な考え方を中心に理解させるようにし,条文解釈に深入りしないように留意すること。 (ア) 調査や見学などを通して具体的に理解させること。 ウ ウについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (ア) 地理的分野,歴史的分野との関連を図り,その学習の成果を生かす工夫を行うこと。 (5) 内容の指導に当たっては,教育基本法第8条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,生徒の公正な判断力の育成を目指すものとする。 |
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。 |
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 (1) 小学校社会科の内容との関連及び各分野相互の有機的な関連を図るとともに,地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して,全体として教科の目標が達成できるようにする必要があること。 2 指導の全般にわたって,資料を選択し活用する学習活動を重視するとともに作業的,体験的な学習の充実を図るようにする。その際,地図や年表を読みかつ作成すること,新聞,読み物,統計その他の資料に平素から親しみ適切に活用すること,観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめ,発表することなどの活動を取り入れるようにする。また,資料の収集,処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信ネットワーク,教育機器の活用を促すようにする。 |