★はじめに〜「職業指導」って?〜
「職業指導」とは、今でいう「進路指導」のことです。そう、中学校や高校でされている、あれです。でも、ちょっと待ってください。「君の成績はこのぐらいだから、あの学校は無理だねぇ」「こっちの学校にしたらどう?」なんていう指導は、本来はほんの一部ですし、こういう進路指導を学ぶと思ってもらっては困ります。もっと、学ぶ価値のあるものなんですよ。
★本来の「進路指導」とは?
上の学校を選ぶにしても、職業を選ぶにしても、「どんなところなのか」、「自分と合っているのか」、「そこを出た後にはどうなるのか」、「経済的、あるいは地理的に無理はないのか」、「他にある類似の進路にはどんなものがあるか」などなど、いろいろなことを知った上で、検討しないと選ぶことはできません。また、現時点での自分に合っていなくても、そこに進みたいと思ったら、努力して成績を伸ばしたり力をつけたりして、進める可能性を高めたりした上で、決めたいものです。
しかし残念ながら、現行の進路指導はそのような援助ができない場合が多いのです。でも、このような過程を踏まずに、3年生のぎりぎりになって「君の成績はこのくらいだから…」といきなり切り出されたのでは、満足な選択も決定も難しく、まるで授業も受けていないのに試験をされるようなものです。そうではなく、早い時期から少しずつ、いろいろなことを調べさせたり、吟味させたり、体験させたりする進路指導ができるようになると、いいと思いませんか? 「職業指導」の科目とは、そのために必要なことがらを学んでいくものです。
★「職業指導」の免許?
滋賀大学教育学部では、2回生以降、必要な科目を履修することで、「職業指導」という教員免許が取得できます。上で述べたような、理想的な進路指導ができるための知識や技術を身につけたことを証明する免許です。ただし、これだけでは教員採用試験を受けることはできませんので、必ず中学校か高等学校の、いずれかひとつの教科の免許も取得する必要があります。
必要な履修科目の案内はこちらにありますが、進路指導の専門知識だけでなく、適性検査や相談が伴う仕事になるので、心理学の科目を始めとした周辺領域の科目も履修してもらう必要があります。学校心理コース以外の人には、少し負担が多い履修計画になるかもしれません。
★「職業指導研究室」で学ぶためには
滋賀大学教育学部では「研究室制度」と呼ぶ制度があり、入学時からいずれかの研究室に所属することになっています。しかし、この「職業指導研究室」は、入学時から所属するものではありません。「学校心理コース」の学生のうち、職業・進路関係、またはそれに近いテーマである青年心理学のテーマを選ぶ人が、3回生の春に配属されます。ちなみに、当研究室所属の学生さんが書かれた論文のテーマ一覧は、こちらにあります。
「学校心理コース」以外の人でも、上述の「職業指導」の教員免許を取得する人は、若松の授業を頻繁に受けることになりますから、事実上、「職業指導研究室」に所属しているような形になります。