地図回転課題


児童期以降、高齢期までの空間的視点取得能力を測定するために、渡部が考案した課題.

 装置 パーソナルコンピュータに、外枠が黒色の18インチ液晶モニタと、スタンド付きマイクを接続した。モニタは被験者正面の机の上に水平に設置し、その左隣にマイクを置いた。着席した被験者からはモニタ画面の中心が約45度下方に見下ろされた。マイクは、入力部が彼らの口のすぐそばに来るように位置を調節された。モニタの画面には、白色の背景の上に直径約25pの黒色円が描かれた。その黒色円の外周付近には、被験者に最も近い位置を起点として、そこから中心角が45度ずつになるような位置に直径6pの白色円を8個、等間隔で描いた。この白円の位置を表現する場合には、以後、起点となった位置を0度と呼び,反時計回りにそれぞれ45度、90度、…315度と呼ぶ。それらの円中には、「郵便局」や「図書館」など日常生活において馴染み深い建物や場所を意味する記号(教示試行)、もしくは1〜8の数字(本試行)をランダムな配置で張り込んだ。教示試行においてのみ、黒色円の中心に直径8pの緑色の円が加えられた。これらの刺激の提示やマイクからの音声入力に基づく反応時間の計測は、独自に開発したWindowsプログラム(こちらからダウンロードできます)によって制御した。反応時間は1000分の1秒単位で計測され、刺激提示条件、反応、正誤などの情報とともにコンピュータ内に記録した。刺激提示の合図となるビープ音は、液晶モニタに内蔵されたスピーカーから提示した。




モニタ画面に呈示された刺激の例


 課題 着席した被験者に対して、最初に液晶モニタの位置とマイクからの入力音声の感度が調整された。次いで、課題の内容を説明し課題に慣れさせるために教示試行を行った。教示試行では、まず円形の山を中心に「い」〜「ち」の8つの建物が取り巻く街の地図を手渡し、モニタ上の8つの円はミニチュアの街を意味すること、手にした地図はその街のものであることを教示した。両者の対応関係が適切に理解されたことを確認するために、地図と街の向きが同じであるとした場合の、地図中のある建物記号(「い」〜「ち」のいずれか)に相当するモニタ上の街の記号名(「郵便局」、「図書館」など)を答えさせた。続いて、地図と街の向きが異なると想定し、同様の質問を行った。この際、地図と街の向きの関係は、建物「い」に相当する記号名を口頭で伝えることにより指定した(例えば「地図中の「い」がモニタ上の郵便局だとすると…」)。本試行では、課題の進行をコンピュータの制御によって行うこと、1回の質問は次の6つのステップから構成されることを伝えた。
 まず、@コンピュータの指示に従い、実験者が地図中の建物記号A〜Hのうち1つ(以後、「設問位置」と呼ぶ)を、口頭で被験者に指定した。A被験者が地図上でこの位置を確認した1秒後に、刺激提示の合図となる1秒間のビープ音が鳴った。B1秒間のブランクの後、1〜8の白円のうち1カ所が5秒間薄い赤色に変わった(以後、「視点位置」と呼ぶ、数字は透けて見えていた)。C視点位置と地図の建物「い」が一致するとみなした場合の設問位置に相当する番号を、被験者は口頭で答えた。Bの刺激提示からCで発声が開始されるまでの時間をマイクからの音声入力によって自動計測した。被験者の解答は、実験者がパソコンのキーボードからそのつど入力した。



 被験者に手渡された地図


(上で用いられている実験用のプログラム(Windows)は、追試等の学術目的であれば自由に使用して頂いて結構です。)


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