2026年3月例会のご案内

 

後期近代における多元的自己とアイデンティティの倫理
−「キャラ」と「ジェンダー」を題材に−

 

   報告者 :藤野遼平 氏(大阪大学)

 

★日時:2026年3月14日(土曜) 14:00〜17:00

 

★場所:神戸市青少年会館 サークル室C

 

 今回は大阪大学の藤野さんに、上記の題目でご発表いただきます。学位を取得されて今後の研究を見据えてのご発表です。藤野さんからは以下の概要文をいただいています。

 

 価値観が多様化した後期近代と呼ばれる現代においては、「再帰性」や「個人化」の傾向が促されていると指摘されています。その結果、自己は一元的なものとしてまとまりにくくなり、状況に応じて異なる自分を演じながらも、そのいずれもが「自分である」と感じられるような、多元的な自己の在り方が顕著になっています。
 そのような現代社会に生きる青年の友人関係においては、「キャラ」という用語を用いたコミュニケーションが多く見られます。現代の若者は、置かれた状況や所属する集団に応じて、複数のキャラを使い分けながら対人関係を営んでいます。近年では、状況の有利・不利に応じて多元的な自己を再帰的に検討し、操作することのできる個人の主体性こそが、現代社会に適応したアイデンティティにとって不可欠であるとする指摘もなされるようになりました。
 しかし、このような考え方は、たとえば女性が抱える「キャリア志向の自分」と「家庭的な母としての自分」との葛藤を、「ジェンダー」をはじめとする社会的・構造的な側面から切り離し、個人の主体性の問題として回収してしまう危うさも孕んでいます。この点は、個人化の傾向がもたらす影の側面として、慎重に検討される必要があるでしょう。
 筆者は、公認心理師・臨床心理士として青年期の若者に対する心理的援助に携わると同時に、以上の観点から研究・検討を重ねてきました。「キャラ」に顕著に表れる多元的自己は、果たして目指されるべき自己のあり方なのでしょうか。また、アイデンティティは「ジェンダー」という社会的条件に対して、倫理的であり得るのでしょうか。先生方とともにこれらの問いについて検討を深めてゆく機会を提供できればと考えております。

 

 たくさんの方のご参加をお待ちしております。

 

★引き続き、ご発表くださる方を募集しております。ご希望される方は世話人の若松までメールをください。このHPのトップページにアドレスがあります。90分だけのハーフタイムでもけっこうです。その場合は、もう一人の方とのダブル・ヘッダーになります。