びわ湖のほとりで35年続くすごい授業

ミネルヴァ書房 本体2,200円+税 2018年9月20日初版第1刷発行
著 山田奨治 滋賀大学教育学部附属中学校
ISBN978-4-623-08405-0 178P

滋賀大学教育学部附属中学校では、1983年から調査探究型の総合学習を開始し、「BIWAKO TIME(BT)」として継続実施しています。加えて、「情報のみかた」等の著者である山田奨治先生のご協力をいただき、教科・領域横断型カリキュラム「情報の時間」を開発し、実践を積み重ねてきました。そして、40年以上続く学級劇の創作活動に「情報の時間」で学んだ成果を活かすことでコミュニケーション能力の向上を目指す「COMMUNICATION TIME(CT)」を位置づけています。山田奨治先生と滋賀大学教育学部附属中学校教員が協同して本校の総合的な学習の時間の内容と変遷を整理して、以上の総合学習を本書にまとめました。総合学習では、生徒がこれからの急激な社会の変化に積極的に向き合い、周りの人と協働して課題を解決していくことのできるよう、生きるための基礎的な力に加え、論理的・創造的に自ら思考し、判断し、行動する力の育成と心豊かな人間力を具えた人に成長させることを目標にしています。今の学習指導要領で求められている「主体的・対話的で深い学び」の答えとなる日々の教育活動の実践を紹介しています。

【目次】

はしがき
序章 自ら考え、判断する子どもたち
第1章 学びのエンジンを作る
きっかけ
「情報の時間」ができるまで
思考ツールの定着
「情報の時間」の目標と内容
1年生「情報の見方」
2年生「情報の加工」
3年生「情報の生産」
理解度と生徒の自己評価
学級劇を作るCT
第2章 びわ湖から「学び方」を学ぶ
「BIWAKO TIME」とはどんな授業か
発表会の様子
質疑応答
BTの略史
テーマを決めるまで
調査研究の実際
発表会を通して考える
「情報の時間」との連携
BTの教育効果
さらなる「深い学び」の種
第3章 生徒が変わる
生徒・保護者アンケートから
全国学力テスト生徒質問紙から
共通理解を作る
第4章 教員も変わる
国語 文章の論理構造を可視化し、批判的読みの力を育む説明的文章教材の指導方法
国語 国語の授業力を向上させるBTと「情報の時間」と「思考ツール」
社会 交流を通した社会的思考力・判断力を高める社会科授業にむけて
数学 情報の本質を捉え、活用場面を想定した数学科の指導の工夫
数学 「情報の時間」、BTと「数学科」との関連性を考える
理科 探究的学習活動における論理的な思考と、対話的な学びを目指して
音楽 総合学習から音楽科への実践に向けて
美術 BTや「情報の時間」による美術科の授業の変化について
保健体育 体育授業のこれからの実践的課題について
保健体育 考える力を養う体育の授業を目指して
技術・家庭 技術の教科指導
技術・家庭 授業内での思考ツールの活用について
英語 英語の授業で考えさせる?
英語 英語科における「主体的・対話的(協働的)で深い学び」との関連性
道徳 探究的学習活動のプロセスをヒントにした道徳
学校保健 「学校保健」と「本校の総合学習」の関わり
第5章 大人になっても残る授業
BTの長期的な教育効果の検証 卒業生への質問紙調査
聞き取り調査から見えること 調査からわかったこと
第6章 滋賀大学附属中学校の実践が投げかけること
35年続くアクティブ・ラーニング 生徒が自ら問いを立てる
総合学習批判を越えて 国立大附属学校の改革論議
大人にこそ必要な学び
付録 「びわ湖学習」「BIWAKO TIME」の変遷
あとがき
コラム
1 「情報の時間」のこれから
2 「深い学び」を感じる瞬間に出会う生徒
3 本校での経験が教員に与える影響