・3つの山問題(the three-mountains task)
子どもの空間認知能力の発達を調べるために、ピアジェとインヘルダー(Piaget,J.
& Inhelder,B.,1948)において用いられた課題。
視点の協応について述べた、第8章で紹介されている。(邦訳はこちら)
3種の異なる特徴を持った山の模型を提示し、異なる位置からの山々のみえを問う。
X〜Zの山の高さは、約20〜30cm
刺激布置全体は1m四方の正方形
Xの山:最も低い緑色の山
頂上に小さな家がある
Bから曲がりくねった小道が見える
Yの山:中間の高さで茶色の山
頂上に赤い十字架がある
Dからこの山を流れ下る小川が見える
Zの山:最も高い灰色の山
頂上は雪で覆われている
自分自身のみえを答えるだけのUAと呼ばれた段階から、異なる視点を表現しようとして失敗するUB段階、視点とみえとの関連性に気づくがまだ不十分であるVA段階を経て、正しく反応できるVB段階に至る発達的変化が示された。ピアジェ理論の中心概念である自己中心性に深く関わる、空間的他視点取得能力を測定する良い指標となり得ると思われたため、3つの山問題及びその類似課題を用いた研究が盛んになされた。なお"3つの山問題"という邦語は、わが国で最初にこの課題を用いた研究を報告した、田中(1968)に従った。