<動物行動の紹介> <担当教員の開講科目の紹介>
◆システム分析とは何か?                                  
 システム(system)とは、日本語では組織、制度、系などと訳され、複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮する要素の集合体を意味しています。例えば、生態系や入試制度、軍隊組織などのように使われます。要素を個人とすれば、全体的にまとまりを持って行動した方が、個人個人がバラバラに行動した時よりも効率や目的の達成率が高い時に「システムが機能している」と言います。つまり、システム分析とは、構成要素そのものに注目するのではなく、構成要素間の関係性や各要素の全体の中での位置づけや役割などについて注目し、全体としてよりうまくいく仕組みを調べていくことになります。したがって、システム分析の対象はコンピュータや人間の場合もありますが、例えば、生態系を対象とすることも可能です。物質循環を可能にするような食物網を詳しく分析することはシステム分析と言えるでしょう。 
◆バイオシステムとは何か?
 生物の世界では、実に様々なレベルで様々なシステムが見られます。例えば、病原菌に対処するための免疫システム、行動を制御するための脳・神経システム、次世代に遺伝情報を伝えるための遺伝システム、子孫を残すための配偶システム、分布域を拡大するための移動・分散システム、持ちつ持たれつの共生システムなど、数え上げればきりがないほどです。このような生物の世界で見られる様々なシステムを、物質的側面からではなく、構成要素間の関係性や役割に注目し、システムの成り立ちやシステムを規定している諸法則、環境条件の変化に対処するシステムの挙動などを野外観察や実験等から明らかにしていくことが、バイオシステムゼミの目標です。 
◆バイオシステムと情報科学の関係は?
 いわゆる生命科学としての生物学では、物質をその研究基盤とし、DNAやタンパク質などの化学的特性に注目して研究を進めて行くことが多いようです。しかし、バイオシステムを研究する場合、物質そのものではなく、構成要素間の関係性やメタ構造などの集団の階層構造を扱うため、その研究基盤はパターン認識と統計学となります。基本的に関係性などのパターンに着目してデータを収集し、コンピュータを用いて統計的なデータ解析を行います。最終的には要素のふるまいを確率論的なモデルとして表現するために、情報科学の一分野とも言えるでしょう。 
◆バイオシステムと環境学の関係は?
 平成12年度までは、「バイオシステムゼミ」担当教官の服部は、理数情報コースやシステム情報コースではなく、環境情報コースに所属し、環境学や環境生態学を専門科目として担当していました。環境学は、環境問題を解決するための実学的色彩の強い学問分野で、環境生態学や環境経済学、環境物質科学などをその基礎としています。環境生態学は、特に生物多様性や景観などに注目して自然破壊などを食い止めようとする新しい学問分野で、環境問題の解決に生物界の様々なシステムを応用しようと試みるものです。つまり、バイオシステムの基礎的研究の上に環境生態学が成立し、さらに他の分野をも総合して環境学が成立しているのです。服部の専門分野は、これまでも、現在でも、「個体レベル以上のバイオシステムの研究」です。 
◆一般的な学問体系の中でのバイオシステムの位置付けは?
 やはり、生物学の一分野となります。社会生物学や行動生態学、動物行動学などが、個体レベル以上を対象としたバイオシステムを、主な研究対象としています。特にヒトも守備範囲としていることを強調する場合、「社会生物学」と呼ばれますが、あえてヒトを含めない時は、「行動生態学」とか「動物行動学」などと呼ばれます。 
◆専門的な学習の内容
  現代では、最先端の測定器材を多用すれば、様々なデータが収集できます。それでは、このような器材がない場合、情報収集はできないのでしょうか? 器材に頼らない様々な情報収集の方法を専門的に学習していきます。まず、野生動物の行動パターンや適応戦略を研究する方法論(動物行動学)を学んだうえで、「仮説検証型の情報分析」や、「対象に合わせた調査の企画」を学習します。その後で、画像処理や統計解析、システム分析などのコンピュータを用いた情報分析技術を習得します。
◆情報処理と情報収集のフィードバックシステム
 情報処理やデータ解析を学習する場合、与えられたデータを用いて練習したり、課題に取り組んだりすることが一般的なようです。このためか、データそのものには関心を持たない人が少なくありません。しかし、目的もなく集められたデータというものは存在しませんし、手元にあるデータだけを分析していては、本質的なことはわからないのです。すなわち、情報収集の後の情報処理は必要不可欠なプロセスですが、その後で初めて「どのような情報が必要だったのか」が明らかになることが多いのです。情報を分析してから再び仮説を立て、その仮説を検証するために情報を集めるといった「フィードバックシステム」が存在しています。この一連のプロセスを、具体的な生物を観察対象として体得していきます
◆情報教育とバイオシステム
 情報教育課程に所属していますので、情報教育にも力をいれています。バイオシステムゼミでは、身近な自然から情報を集めますが、まず、収集すべき情報を明確にするための「問題設定」を重視しています。その後で、企画(Plan)、実際の情報収集(Do)、実行過程での作業状況の評価(Check)を行い、さらに、データ解析の結果を考察して必要に応じて調査計画を修正すること(Action)までの、いわゆる「PDCAサイクル」を実行してもらいます。この一連のプロセスは、SE(システムエンジニア)でも習得が望まれている重要な知的スキルです。最終的には、報告書(卒業論文)としてまとめ、プレゼンテーションを行って概要を報告してもらいます。一見すると無秩序に思える動植物の世界を扱うからこそ、「問題の発見に始まり、情報収集時の企画から最終的な情報発信まで」の一連のプロセスが体系的に学習できるのです。
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