一緒に若者の心に迫ってみませんか

公認心理師の学部科目について

本学学校心理専攻の学生(〜2017.4までに入学)が、公認心理師の受験資格を得るために履修する科目の一覧をこちらに にアップしました。右クリックして「リンク先を保存」を選ぶと、ダウンロードできます。エクセルのファイルが開ける環境で見てください。

 

表のなかにはローマ数字の1から5までがあり、その右側に赤い字で示したのは、公認心理師法で示された科目名、その右の列に黒い字で示したものが本学部の科目名です。ローマ数字の列に示された科目数を履修すれば、その領域はクリアできます。

 

実際に受験資格を得るためには、この学部を卒業後、公認心理師の資格科目を提供している大学院(本学の大学院は未対応)に進学して、必要な科目(かなりの数にのぼり、実習時間もたいへん多いです)をすべて履修して、はじめて受験資格が得られます。詳しくは、若松まで問い合わせてください。

学校心理専攻というところ

私は滋賀大学教育学部のなかで、初等教育コース・学校心理専攻というところの教員をしています。この名称は2012年4月からのものですが、それ以前には「学校心理コース」、「教育心理学研究室」という名称で、一貫して「教育心理学」をベースとした心理学教室の専従となっています。オープンキャンパスにいらっしゃる予定の方や受験生の方は、この心理学教室の案内をこちらで丁寧に行っていますので、一度ご覧ください。

 

教員養成学部で心理学を学ぶのは、ひとえに子どもの発達や学習を中心とした専門性を身につけるためです。わかりやすく言えば、「この子はどうしてこうなのだろう?」「どうしたらわかりやすい教え方ができるのだろう?」という問いに一定の見通しを立てられるようにするためです。教員養成学部では、国語や体育といった、教科の専門性を身につけて卒業していく専攻が多いのですが、このように「子どもがわかる」という専門性をもった人も必要です。

 

とはいえ、心理学を大学で学ぶわけですから、「学問」と言えるレベルの学びになるよう、ついてきてもらわなければなりません。国語や数学、英語といった高校までの基礎教科は、心理学と直接は関係しないように見えますが、大事な「土台」になります。また、心理学は「データや事実をもとに論じていく」という科学の側面ももっていますし、世の中のことを知らなければ「教育」は論じられませんので社会科も大切です。

 

「ついていけるのかな?」と心配になった人もいるかもしれませんが、学校心理専攻の先生方はみなさん、学生のことを考えてきっちりと丁寧に教えてくださる方ばかりです。安心して入ってきてください。もちろん、実験やレポートで苦労する人もいるかと思いますが、苦労した分が、あなたの力や喜びになります。山は足腰を使い、ひぃひぃ言って登るから、頂上の景色や空気に感動するわけです。さぁあなたも、私たちと一緒に心理学を学びましょう。

 

【追記】 「大学で心理学を学ぶってどういうことだろう?」ということを知りたいあなたには、以下の書籍がお薦めです。

赤本ポケットシリーズ 『心理学科をめざすあなたへ』(浦上昌則編 教学社, 1,029円)
★私も2ページだけですが、執筆しています。

 

 

「わかりやすさ」の追求

学校心理専攻がベースとしている「教育心理学」という学問は、「教育を心理学の手法で研究する」というものです。若松研では、そのなかでも「どうしたらわかりやすく相手に伝えられるか」にこだわって、教育活動を行っています。なぜなら「わかりやすくない伝わり方」は、教育の活動やプロセスに関わる「心」を理解していないことになるからです。いわば「医者の不養生」「紺屋の白袴」ということになりますからね。

 

例えば卒論などの書き方や発表会でのプレゼンテーションがその良い機会となります。近頃はパワーポイントを使用しての発表が多くなりましたので、わかりやすくなる傾向にはありますが、それにしても単に書く、喋る、スライドを作るだけでは、わかりやすい発表にはなりません。例えば「仮説1は〜というものです。仮説2は…というものです。仮説3は△△というものです。それでは仮説1の結果について述べます」という発表の仕方は、聞いている人の記憶や理解に大きな負荷をかけます。つまりほとんどの人が「仮説1ってなんだっけ」というふうになります。そうではなくて、「仮説1は〜というものです。それではこれに対応する結果をご紹介します」という説明の方が遙かにわかりやすいはずですよね。

 

こうしたことは、学生のみなさんが社会に出てからもたいへん役に立つことです。企業でも、役所に就職しても、そしてもちろん教員になっても。私の後輩にあたる人が言っていた台詞に「企業は、教育現場だ」というものがあります。この人は、何も教育関係の企業に勤めていたわけではなく、製鉄会社にいました。業務内容は教育に全く関係はなくても、立場や意見の異なる人に、如何に自分の説明や主張をスムーズに理解してもらい、あるいは納得してもらうかということが日々の業務のなかで何度も課題になります。そう、「教育」は「説得」に他なりませんから、どんなところにいっても、就職しない人であっても、他者と接する限り、行っていることは「教育」なんですね。そしてその根幹には「どうしたら私の説明や主張をスムーズに理解・納得してもらえるか」という課題があるのです。

 

心理学そのものを学ぶことは、もちろん「学校心理専攻」の大切な学習内容です。ですがそれと同じくらい、「どうしたら相手にわかりやすく伝わるか」も大切な課題ですし、それを解決するには、認知・記憶・学習・発達など、学校心理学の知識が役に立つのですね。