令和6年度 本校の研究

令和6年度 研究テーマ

問いを機軸とした対話型の学習で育む,グローバル社会に生きてはたらく資質・能力の育成
‐個の学び・協働の学びの往還で,創造的な問いを促す‐

【校内研究主題の設定】
本校の総合的な学習の時間「BIWAKO TIME(以下,BT)」では,「3学年の異学年合同によるグループ活動」を特徴としてきた。コロナ禍における感染対策のために,グループ活動ができなくなった時期があったが,これが40年以上続いているこれまでのBT実践の意義をさらに価値づけることになり,「問い」に着眼点を置いた教育実践が進められる契機となった。
2020年度に実施された,個人の研究(統計レポート)に関する取り組みでは,生徒は自らの興味や関心のあるテーマについて問いや仮説を立て,調査研究活動を行っている。探究的な学習活動をグループで始める前に「個の学び」の場面を設定することで,創造的な問いを生み出す学習過程を下支えするものとして位置づけられた。創造的な問いは,BTの評価ルーブリックの中でも,思考・判断・表現の観点における最高レベルに相当する記述語として採用している。これまで創造的な問いの解釈について教員間で議論がなされてきて,『各教科等で身につけた「見方・考え方」を働かせることで,複数の領域との関連性が感じられ,問いとして挙げたものが一般化されたもの』といった理解が有効である。「個の学び」の中で,それぞれの生徒が自ら立てた「問い」を持ち,それに関する一定の調査結果および考察を持ち寄って編成されたグループでの探究的学習の場面に移行すると,それぞれの「問い」と調査結果・考察をうまく組み合わせながら,共通する関心ごとに迫る仮説を立てることができているだけでなく,生徒一人ひとりは強い研究動機に支えられ,その実証や解決策の提案に生徒が粘り強く取り組む姿が見られた。BTにおける「協働の学び」では,生徒のそれぞれの「問い」が変遷され,グループ探究を進める過程で,生徒が主体的に学び続けるきっかけとなった。
本校研究主題を「グローバル社会に生きてはたらく資質・能力の育成」と題してから3年の実践期間を経て,2021年度より「対話型の学習」の機軸として「問い」に着目した研究を進めてきた。BT実践において「個の学び・協働の学び」と学習形態が変わる中で,一度立てた「問い」を変遷させながら,探究的な学習活動を深めていき,「対話型の学習」が大きく作用しているという実態が見えてきた。また,自ら「問い」を立てる力は,BT の学習活動を繰り返し経験することを通して伸長させていると実感しているだけではなく,教科の授業を通して,自らが「問い」を立てる際のモデルとして捉えているという実態についても確認している。
上記の背景をもとに,本研究では,「問いを機軸とした対話型の学習」の実践を通して,各教科等における探究的な学習活動や,総合的な学習の時間等で,BT実践をモデルとした個の学び・協働の学びの往還によって,生徒が学ぶ必然性や妥当性を高めることで,「自分事として物事を捉える」側面が強化され,「多様性を尊重」しながら多様な価値観の中で学ぶ意義を実感したり,「多面的・多角的」に考える力が養われたりすることをねらいとしている。各教科等での学びが総合的な学習の時間において創造的な問いを生み出すための手立てとなり,逆に総合的な学習の時間での問いを生み出す過程を学ぶことが,各教科での自律的な学びにつながる。このような学びの積み重ねにおいて,生徒自らが総合的な学習の時間を中心に創造的な問いを立てられることを通じて,学校教育目標である「郷土を愛し」,「心豊か」に「世界へはばたく」ための力の基礎を築くことを目指す。