学部長メッセージ


 滋賀大学教育学部は、1875(明治8)年創設の滋賀県師範学校を源流とし、2025(令和7)年に創立150周年という大きな節目を迎えました。150年にわたり、本学部は滋賀県をはじめ各地に数多くの優れた教員を送り出し、わが国の教育や地域社会の発展に貢献してまいりました。
 近年、教職の厳しさが社会的に取り上げられる機会が増えています。しかし同時に、教職は子どもたちの成長に寄り添い、その歩みを支える大きな喜びとやりがいに満ちた仕事であることもまた事実です。「教育は『人が人を育てる』仕事。時代がどのように変わろうと、人でなければできない仕事だと思う」。これは、本学卒業生である一人の小学校教員の言葉です。人工知能をはじめとする先端技術が急速に進展する現代にあっても、この言葉は教育の本質を示しています。
 教育とは、人と人とが向き合い、関わり合い、響き合う営みです。子どもたちは可能性に満ちあふれ、私たちの未来はその成長に託されています。そうした存在を育て導く教師の営みは、未来を創造する役割を担う崇高な仕事と言えるでしょう。変化のスピードが速く、将来を見通しにくいVUCAの時代において、予期せぬ課題に柔軟に向き合い、しなやかに生き抜く力を育むことは、社会の未来を守り、発展させることにつながります。本学部は、さまざまな教育課題に真摯に向き合い、探究を重ねながら自らも成長し続ける教師の育成を使命としております。
 本学部の教員養成カリキュラムでは、教員としての基礎力を養う基本カリキュラム、実践的資質を涵養する教育参加カリキュラム、そして各自の専門性を深化させる得意分野育成カリキュラムという三本の柱から成り立っています。加えて、教職員と卒業生が連携した就職支援体制、地域の学校および教育委員会との協働体制を通じて、地域社会全体で未来の教師を育む仕組みを構築しています。その成果は、全国の教員養成系国立大学・学部の中でも高い水準の教員就職実績として結実しています。
 令和の学校教育では、すべての子どもたちの可能性を最大限に引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現が求められています。さらに、教育DXGIGAスクール構想への対応をはじめ、データサイエンスやAI、情報技術に関する知見と指導力も不可欠です。しかし、それらの基盤にあるのは、子ども一人ひとりを深く理解し、多様性を尊重する姿勢です。本学では、教育データサイエンティスト養成プログラムやダイバーシティ教育専門科目群履修プログラムなど、多様で高度な学びの機会を整え、時代の要請に応える教員養成を推進しています。
 激動の時代にあって、子どもたちの学びの環境を豊かに守り育てるために、教師の存在、そして教育学部の役割はこれからますます重要になるでしょう。自分自身や周囲の人々を大切にし、未知なるものに心を開きながら、自らの人生を主体的に切り拓いていく力を身につけることは、やがて子どもたちを支える大きな力となります。本学部での学びが、その確かな第一歩となることを心より願っております。

教育学部 学部長 芦谷 道子