2025年1月24日
インクルーシブ教育フォーラムを開催しました! 県内外より約130名が参加!!子ども同士のつながり、子どもと先生とのつながり、校種や学びの場を超えたつながり…いろいろな“つながり”の大切さを確かめ合うあたたかい時間になりました。
12月21日(土)午後、「つながる・つなぐ~小学校、中学校、高等学校の実践から~」をテーマに、教育学部大講義室でインクルーシブ教育フォーラムを開催しました。県内外より、就学前、小学校、中学校、高校、特別支援学校などの教員や教員をめざす学生・院生など約130名が参加し、実践報告に熱心に耳を傾けていました。
はじめに、滋賀県教育委員会事務局特別支援教育課の左谷光夫課長より、滋賀県の特別支援教育の現状と取組について報告がありました。その後、草津市立矢倉小学校の山村智子教諭に、自閉症・情緒障害特別支援学級での実践を報告していただきました。子ども一人ひとりの持ち味や世界観を丁寧にとらえ、教師が子どもとつながることを通して、子ども同士のつながりを育てていく様子が生き生きと語られました。栗東市立葉山中学校の井上真澄教諭には、通級指導教室の担当として、豊富な教材を紹介しながら、つながる・つなぐための工夫をたくさん報告していただきました。とくに、「通級による指導を受けている子どもの情報を共有することで、通級による指導を受けていない子どもの支援につながる」というメッセージは、多くの参加者に響いたようでした。さらに、滋賀県立愛知高等学校の小幡駿教諭は、県立高等学校通級指導教室の担当として、「自己理解を深める」「わからないことを相談できる」「社会に出るための準備」「進路(生き方)を考え、自己実現に向けて行動をおこす」ことに取り組んでいると報告されました。通級は単にスキルを身につける場ではなく、「わかってくれる先生が学校にいる」という安心感を持つことを大事にしているというお話が印象的でした。滋賀県立八日市南高等学校の江南由紀子教諭は、「特別支援教育係」を中心に、校内で配慮や支援を必要としている生徒一人ひとりと丁寧に面談を重ね、教員と生徒が「一緒に考える」「一緒にやる」姿勢で関わっておられることを報告されました。その後は限られた時間でしたが、フロアから、学校内での連携や情報共有について「どのように発信しているのか」「どのような難しさがあるのか」といった質問や、社会に出ていくための支援のあり方などについての質問などがあり、それぞれの立場から意見を交流しました。
会場には、特別支援学級や通級指導教室で使われている教材・教具等がたくさん展示され、参加者は一つひとつを手にとりながら、「これならあの子とこんな学習ができるかも…」「さっそく、3学期に使ってみたい」などと思いをめぐらせている様子がうかがえました。参加者からは、「先生方の熱意を感じて前向きになりました」「高校での取り組みを興味深く聞かせていただきました」「こんな高校がもっと増えたらいいなぁ」「各校種の実践を聴き、支援が途切れなく続いている印象を受けました」といった感想が寄せられました。また、これから教職を志す学生からも、「様々なつながりが教師の仕事にあるのだと実感した」「今日の学びをこれからに生かしていきます」といった頼もしい声が届きました。
一人ひとりの教育的ニーズに応じて、特別支援学級や通級指導教室などの‟特別な場”で学びつつ、可能な限り障害のある子どもと障害のない子どもが共に学んでいけるように配慮することで学級・学校・地域の子ども同士が互いにつながり、共に育っていけるようなインクルーシブな教育を実現していくために、今、何を大切にできるか、これから何を大切にしていくか・・・。このフォーラムの場が、子どもの教育に携わる一人ひとりがつながり合って未来を思い描く一つのきっかけになっていれば幸いです。たくさんのご参加をありがとうございました。

学部長挨拶とシンポジストのみなさん

実践報告の場面(中学校通級)

実践報告の場面(高校通級)

フロアとの意見交流

教材の紹介