2023年9月12日
2019年、2020年の暖冬により、琵琶湖では2~3月ごろに発生する全循環(表層と深層の湖水がよく混合する現象)が停止しました。教育学部の石川俊之教授が参画した神戸大学、東京大学、滋賀県立大学の研究者からなる共同研究チームは全循環の停止した年と全循環が発生した年のそれぞれの湖底の水温・溶存酸素濃度の観測と環境DNA手法を用いて湖底に生息する魚類(イサザ:琵琶湖固有種)とエビ類(スジエビ)の生物量の推定を行いました。
これらの結果を用いて数値シミュレーションを行い、将来の湖底の水温や溶存酸素濃度分布や2種の生物の分布域と生物量の変化を予測したところ、スジエビのほうがより強い影響を受ける可能性が明らかになりました。なお、2種が受ける影響の違いは水温や溶存酸素濃度の変化に対する応答、移動パターンの違いなどが考えられると結論づけています。
本学の石川教授は学長裁量経費による研究助成を受け、琵琶湖湖底の水温や溶存酸素濃度の観測や環境DNA試料の採水を担当しました。
また、筆頭著者の鄔博士(神戸大学)は本学教育学部および大学院修士課程で学び、その後神戸大学に進学し博士号を取得した本学の卒業・修了生です。
論文のリンク(オープンアクセス)
https://doi.org/10.1002/ecs2.4651