2009(平成21)年5月に裁判員制度が始まって、今年で10年の節目の年を迎えます。それに関連して、5月15日(水)、大津地方裁判所の今井輝幸裁判官と実際に裁判員を経験された方(裁判員経験者)のお二方をお迎えし、裁判員制度に対する講演会を開催しました。
本講演会は、授業科目「日本国憲法」と「家庭経営学」の合同授業のかたちで実施。300名を超える学生・教職員、さらには報道各局の記者らが集まり、皆で裁判員制度に対する理解を深めました。
裁判員制度とは、重大な刑事事件(刑事裁判)の審理に、抽選で選ばれた一般市民が参加する制度です。学生・教職員のなかにも裁判員候補者に選ばれた経験や、あるいは実際に裁判員として裁判に参加した経験等をお持ちの方もおられるかもしれません。
これは刑事裁判に市民感覚を取り入れようとする制度ですが、最近では、裁判員辞退者の数も増加しています。それとともに、守秘義務の厳しさや控訴審での量刑見直しなど、いくつか制度上の問題点も指摘されています。そこで現在、市民が参加しやすい制度に向けて、何をどのように改善していくべきか、様々に議論されています。こうした議論を実質的に行っていくうえでも、まずは裁判員裁判の実情を知ることが大切だと思われます。
お二方の話は、数多くの資料やスライドとともに、自らの経験や感想をもとにして進められました。裁判官からは、裁判員制度の概要や大津地裁のこれまでの実施状況、さらには実際の公判・評議の様子などを、時に実演もまじえながら説明いただきました。また裁判員経験者からは、裁判員に選ばれたときの心境や、法廷での被告人質問のこと、さらには休憩時間のやりとりに至るまで、普段なかなか知ることのできないお話をうかがうことができました。
時折お二方が笑顔で対話される場面もみられ、そのようなやりとりに、裁判員になったときの自分の姿を想像してみた学生もいたことでしょう。お二方は、学生達からの数々の質問にも丁寧にお答え下さいました。参加者一同、あらためて自らの問題として裁判員制度に向き合えた有意義な講演会となりました。
講義の様子 熱弁を奮う裁判官
学生からの質問に回答する裁判官と裁判員経験者 受講風景