概要
皆さんは、入試を経て、「学校教育教員養成課程」に入学しますが、1年次の秋から、皆さんの関心にもとづき、専門の専修あるいは専攻に別れます。小学校教員をめざす人を中心とした「初等教育コース初等教科専攻・国語専修」、中学・高校教員をめざす人を中心とした「中等教育コース・国語専攻」は、国語科に関わる領域の専門性を高めて教師になりたいと思っている皆さんに最適の場所です。
学習指導要領が教科の枠を超えた「言語活動の充実」を重視しているように、教育という営みにおいて、「言語」はその中心に位置するものであるという認識が高まっていますが、国語研究室(初等と中等をまとめてこう呼んでおきます)では、国語科に関心のある人は勿論のこと、幅広くことばの問題を考えてみたい学生さんをお待ちしています。
国語研究室には、国語学1名、国文学1名、漢文学1名、国語科教育1名の計4名の専任教員がいます。
取得可能な免許とカリキュラム
「初等教育コース初等教科専攻・国語専修」に所属する学生は、小学校教諭一種免許を主免(卒業と同時に取得する免許)とし、必要に応じて所定の単位を取得することにより、中学校教諭一種免許(国語)、高等学校教諭一種免許(国語)などを副免(所定科目の単位取得により取得する免許)として、複数の教員免許を取得することができます。
「中等教育コース・国語専攻」に所属する学生は、中学校教諭一種免許(国語)を主免とし、小学校教諭一種免許や高等学校教諭一種免許(国語)などを副免として、複数の教員免許を取得することができます。学生の中には、国語だけではなく、他の教科の免許や、幼稚園教諭、特別支援学校教諭などの免許を取得する人もいます。
教員免許を取得するには、交流実習(2年次)、基本実習(3年次)などの「教育参加カリキュラム」で開講される所定の単位を取得し、それぞれの免許取得のために必要な科目を履修することになります。国語学、国文学、漢文学、書道の専門科目(たとえば、「国語学概論」「国文学概論」「漢文学概論」「書道概説」など)や、教科教育法の授業(たとえば「初等国語科教育法」「中等国語科教育法」など)になります。
3・4年次は、各教員のゼミに所属し、専門の研究を積み重ねて、卒業論文を執筆することになります。それぞれの研究テーマを深め、最終的に卒業論文というかたちで結実させることで、専門性の高い教員になってもらいたいと考えています。
国語研究室ってどんなところ?
国語研究室は、4名の教員に対し、初等・中等合わせて20名前後が所属します。10名以上ということもざらの私立大学のゼミに比べれば、教員の目が一人ひとりの学生に行き届き、アットホームで、きめ細かい指導ができます。国語研究室のイベントとしては、まず8月にオープンキャンパスがあります。そこでは、おもに2回生や3回生が活躍して、学生生活やゼミの紹介を、高校生や保護者の方に行います。教育実習が終わると教育実習報告会を行います。また、卒業論文を書き終わると、2月上旬に卒業論文発表会を行い、熱い議論をします。
卒業後は、多くの学生が小学校や中学校の教員になります。教員採用試験に不合格になってしまっても、滋賀県は教員の需要が高く、多くの場合講師として採用され、次年度の採用試験に再チャレンジしています。なかには、公務員になったり一般企業に就職したり、自分の研究テーマをさらに深めるため、大学院に進学する学生もいます。
スタッフ紹介
井ノ口史(教授:日本古典文学)
日本古典文学を担当しています。研究対象は、およそ1300年前の人々が詠んだ和歌を集めた、日本最古 の歌集である『万葉集』です。その他、授業では平安時代から江戸時代までの様々な作品についての魅力を伝えるように心がけています。
古典と聞くと、文法の学習や文学史の暗記といったイメージが強く、「面倒くさい」、「とっつきにくい」と感じる人が多いかもしれません。しかし、助動詞や助詞を駆使して細やかなニュアンスを伝えようと努力するのは、古典も現代も変わりありません。また、逆らいがたい時代のうねりの中で、人間の生について思いをめぐらすのも同じです。作者たちが生きた背景を踏まえつつ、一つ一つの言葉に注目し、文章を読み解くための学修は、私たちの原点を探る上でとても重要な意味を持っているのです。
中学校国語教員免許を取得したい人は、2年次に必修科目である(国文学史I・II)を履修することになります。中学・高校の教科書で扱われる作品の読解を中心に、古代から近世までの文学史の流れを学びながら、文章読解や基礎的な知識を身につけることを目的とします。単位を落とすことのないように、しっかりと取り組みましょう。
日本古典文学で卒業論文を書く場合は、3年次で(国文学特殊講義)と(国文学演習)を取り、4年次の(国 文学研究I・II)で卒論指導を受けることになります。ゼミの人数は2~4人くらいですが、卒論のテーマを 決めるところから、調査の方法の確認や文献の集め方、原稿の執筆に至るまで、それぞれの興味や関心に合わせて指導します。
兼好法師のように、「見ぬ世の人」を友として、充実した時間を過ごしましょう。
過去の卒業論文の題目の例
- 宇治十帖・浮舟物語における情景描写~「月」と「雨」を中心に~
- 『雨月物語』における女性の人物造形―「吉備津の釜」磯良を中心に―
- 「菊花の約」における漢字の使い分け―「まこと」をめぐって
長岡由記(教授:国語科教育)
「授業」から連想する言葉を書き出していく活動を行うと、教師、児童、生徒、黒板、教科書、ノート、板 書、グループワーク、発表、個性、楽しい、眠い・・・・・・など多くの言葉が連ねられていきます。それらの言葉を見てみると、授業に対するイメージや授業で活用した道具、子どもからみた教師の姿などが多く挙げられていることが分かります。授業は、人と人との関わりの中で営まれるものであり、それぞれの願いや期待、教育の目的、学習環境、学習活動など多くの要素から成り立っています。国語科の授業といった場合には、さらに教科独自の要素が連ねられていくことになります。
国語科教育に関する学部の授業では、これまで児童、生徒の立場で取り組んできた国語科授業をさまざまな 角度から捉え直すことによって、学びを生み出す授業デザインの諸要素を見出していきたいと思います。授業は、初等および中等国語科授業を担当するための基礎的な知識、技能を習得することを目的とし、模擬授業を取り入れながら目標、内容、方法、評価法等について学んでいきます。まずは自分で考えて実践してみて、改善点を修正し、さらに修正したものをやってみるという繰り返しを大事にしたいと思います。模擬授業をやってみると、時間配分、声かけの仕方、支援のタイミングと方法、振る舞い、授業前にしておくべき様々なことなど多くの課題が見えてきます。それらの課題について知恵を出し合いながら、授業デザインの方法を開拓していきましょう。先行研究から得られた多くの知見にも学びながら、自分ならどうするのかを常に考え、失敗を恐れずいろいろ試してみてください。そして、授業外の時間も含め、他の人と授業について語る時間を大切にしてください。このような活動を通して、自ら課題を見出し解決していくための様々な方法や手がかりをつかんでいけるようにしていきたいと考えています。
過去の卒業論文の題目の例
- 中学生の「書くこと」の課題と指導改善に関する研究
- 自己調整学習を取り入れた小学校国語科授業の提案-「話すこと・聞くこと」の学習を中心に-
- 学習者の多様なニーズに応じた説明的文章指導の検討
- 小学校における漢字学習の課題解決に向けた提案
- 言葉のスタートカリキュラムの提案-幼児教育と小学校教育の連携をめざして-
伊﨑孝幸(准教授:漢文学)
漢詩・漢文は単に中国の古典として重要なだけでなく、日本の文学や文化の基層を成すものでもあります。2年次の「漢文学講読」や「漢文学概論」では、まず、漢詩・漢文を読むための基礎的な知識や文学史的な視座を個々の作品の読解を通して学びます。3年次では、「漢文学特殊講義」や「漢文学演習」といった授業において、作品の内容理解はもちろんのこと、それだけにとどまらず、作品の文学としての魅力を引き出すための高度な読解力を養うとともに、これまでの様々な解釈を参照しつつ、自身の読みを確立してゆくことを学びます。4年次では、それらの集大成として、卒業論文の執筆に取り組みます。
私の授業では、伝統的な文献学的手法を用いた読解を基本としながらも、心理学、社会学、言語学(修辞学)、現代文学理論など、他の様々な研究や分析の方法を参照しながら、作品をできるだけ精緻に読み解いてゆきます。こうした読解を積み重ねることで、従来の読みを乗り越える新たな解釈を見出したときの喜びは、何ものにも代えがたいものがあります。それは、テクストを通して、作者の心に直に触れることのできた喜びといっても良いですし、言葉の新たな可能性を発見することのできた喜びともいえます。
漢字ばかりが連なっているので、どこかいかめしく、とっつきにくい印象を持たれがちな漢詩・漢文ですが、虚心に文学作品として捉え直してみると、現代に生きる我々との深いつながりや、これまで誰も考えてこなかった新たな意味を見出すことができます。このとき、古典文学は、言葉とは何か、文化とは何か、人間とは何か、といった人としての根源的な問いに答えるための重要なヒントを我々にもたらしてくれます。漢詩・漢文を一つの手掛かりとして、汲み尽くすことのできない人間精神の「深さ」を一緒に探究してみませんか。
過去の卒業論文の題目の例
- 中国古典詩における女性
- 詩人の雲への憧れ―漢魏晋から唐代を中心に―
- 教科としての漢文の変遷―現状との対照の視点から―
松丸真大(教授:国語学)
最近、チガカッタ(違った)やキレカッタ(綺麗だった)という言い方を聞きますが、なぜこんな言い方が生まれるのでしょうか?関西方言で「いいヤンカ!」という表現は共通語の「いいジャナイカ!」に相当する表現ですが、それでは「昨日イオンに行ってんヤンカー」を共通語で「昨日イオンに行ったんジャナイーカ」のように翻訳するとおかしいのはなぜでしょうか?
我々は言葉をあまり意識せずに言葉を使っているために、あらためてそれを説明しろと言われると困ってしまいます。ことばを上手に使える人がそのことばについてよく知っているとは限らないのです。国語学(日本語学)という分野は、日本語ということばのしくみについて考える学問です。高校までの国語の授業とは全く違いますので、国語が苦手だった人でも大歓迎です(むしろ苦手だった人の方が良いかもしれません)。
国語学のゼミでは、方言・若者ことば・日本語と中国語の対照など、実際に使われていることばについて調べ、考えます。2年次の講義では国語学(日本語学)の基礎的な知識と考え方を身につけます。3年次の演習では、受講者全員で協力して調査を企画し、実際に滋賀県の様々な地域に出かけていって調査(フィールドワーク)をおこないます。この演習でことばを調べる方法を身につけていきます。また、このフィールドワークを通して、他の人たちと協力し合って共通の課題を解決していくことを学んでほしいと思っています。(写真は調査実施前の集合写真)
4年次のゼミでは、自分が興味をもったことばについて、深く掘り下げて考えます。ゼミでは「こんな言い方もあるよ」「こういう風に進めたらどう?」など、互いにアドバイスし合って卒業論文を仕上げていきます。
ことばについて興味があるかたはぜひ研究室をのぞいてみてください。
卒業論文のタイトルの例
- オノマトペにみるr子音の持つイメージ
- レトロニム発生の条件
- 共感の最適解
- 打ち言葉における若者の短縮語使用の分析
