音楽専修・専攻とは
音楽専修・専攻では、音楽と向き合うことで、柔らかな心と感性、表現力と技能をもった教員の養成をめざしています。卒業生は、音楽を得意とする小学校教員、中学校・高等学校の音楽科教員、特別支援学校の教員、幼稚園・保育園・こども園の保育者など、さまざまな教育現場で活躍しています。
音楽専修・専攻の学生は、より広い視野を持って音楽と向き合う一方で、音楽の専門性を高めるべく、日々研鑽を積んでいます。声楽や器楽のレッスン、作・編曲法、音楽理論、音楽教育などの講義や演習など、個人レッスンや少人数での授業で、音楽を実践的に学べる環境が揃っています。4回生からは、音楽教育、器楽、声楽、作曲のゼミに所属し、音楽教育は卒業論文、器楽、声楽は卒業演奏、作曲は卒業作品を仕上げます。4回生の2月に音楽教育の論文は卒業論文発表会、作品や演奏はコンサートホールでの卒業演奏会を毎年開催しています。
音楽棟内に附属音楽教育支援センター「おとさぽ」開設
音楽棟内に附属音楽教育支援センター「おとさぽ」が設立されました。2021年度から活動を開始しています。障害児者を対象とした音楽教育プログラムや音楽療法を提供しています。おとさぽのイベントや講習会には、学生が参加できるものもあります。音楽療法や特別支援教育に興味がある方、ぜひどうぞ!
←おとさぽHPはこちらから
■音楽教育
林 睦(教授:音楽教育)Hayashi Mutsumi
「人間にとって音楽とは何か」を考え続ける
専門は音楽教育、音楽学です。研究では、音楽アウトリーチについて、日本への導入から25年ほど研究・実践を重ねてきました。音楽づくりの研究も続けています。授業では、音楽的な視野を広げること、能動的に考えること、実際にやってみることを大切にしています。そのため、講義・演習とも、模擬授業や討論、演奏、ワークショップなどの形態を含みます。最近は前述の附属音楽教育支援センター「おとさぽ」の設立と運営に関わっています。音楽が好きな人、子どもが好きな人、そして音楽を通じて特別支援教育にかかわってみたい人、心より歓迎いたします。
■東京藝術大学音楽学部楽理科、同大学院修士課程(音楽学専攻)修了。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程(文化表現論専攻)修了。博士(文学)。現在、音楽教育の教員として授業や研究等を行うほか、附属音楽教育支援センター長として、障害児者の音楽教育プログラムの提供、音楽活動の支援に携わっている。
【担当授業】初等音楽科教育法 中等音楽科教育法Ⅰ.Ⅱ 子どもの表現Ⅱ(指導法)ほか
卒業論文タイトルの例
・楽しい音楽の授業づくり―子どもと教師の苦手意識をなくすためにー
・中学校音楽科における箏の授業に関する一提案―ポップスを使った教材をもとにー
・生徒の主体性を活かした高等学校芸術科音楽の指導―デジタルネイティブ世代を視野に入れてー
・幼児の歌唱における音程の取り方についての一考察
・学校における音楽のアウトリーチ活動に関する研究
―教師・音楽家・子どものコラボレーションに焦点をあててー
・地域における音楽ボランティア活動に関する研究―福祉施設での活動を中心としてー
■ピアノ
[ピアノ担当スタッフ]
石田純子/佐竹裕介/西村静香/萩原吉樹/法貴彩子
ピアノに関する学び…ピアノと「良い仲間」になるために
ピアノってみんな弾いているけど、やさしいようでむずかしい。小学校・中学校・高校など教育現場においては必ずピアノは置かれていて、みんなそれを弾いている…だれが弾いてもそれなりの音が出る楽器です。そしてピアノは音楽の仕組みを知っていくには、最適のメディアなのです。なんといっても いくつもの音を一度に出すことができるのですから、こんな楽器は そう沢山はありません。管楽器や歌と違って、特別な呼吸をしなくても音は出ます。しかし実際に演奏する時には、息をしなくてもいい…?のでしょうか?…これは大きな間違いですよ。クラス合唱の伴奏をするときも、一緒に息を合わせて弾いていきますし、もちろん独奏(ソロ)のときも当然のこと、音楽と共に 息をしながら演奏します。伴奏をはじめとするアンサンブルの現場、主役のときも脇役のときも、クラシック作品も、ジャズやポピュラー音楽でも、多方面にわたって楽しめる、ピアノは、まさに大活躍の楽器。他のあらゆる楽器の代理となって、音やリズムをさりげなく弾くこともあれば、それでいてピアノでしかできない独特の表現も存在します。なんて奥深い神秘…つきあいの良さげな孤高のお方?! 音楽に携わるならば、ぜひ仲良くなっておきたい…そんな楽器なんですね。
大学の講義では、基礎的なテクニックはもちろん、アレンジや伴奏など、幅広い視点から「ピアノ」に取り組みます。音楽表現の大きな可能性を秘めた「楽器の王様」と、良いお付き合いができますように。
【担当授業】 基礎器楽(ピアノ)Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ/器楽(ピアノ)Ⅰ.Ⅱ/器楽(ピアノ)演習Ⅰ.Ⅱ
卒業演奏曲目の例
・F.ショパン : アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ
・F.ショパン:バラード第3番 変イ長調/スケルツォ第2番 変ロ短調
・L.ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番変ロ長調「ハンマークラフィーア」第1楽章
・F.メンデルスゾーン:厳格な変奏曲
・J.ブラームス:4つのピアノ小曲集 Op.119
・C.A.ドビュッシー:ピアノのために
・M.ラヴェル:水の戯れ
・J.S.バッハ:イタリア風の協奏曲
【初等音楽科内容学 ピアノ・スタッフ】石路千夏/井上基子/大西善子/上敷領美絵/松井和代
■作曲
若林千春(教授:作曲)Wakabayashi Chiharu
「水の中の水のように、音を見つけよう」
物事なんでも作ってみると「よくわかる」ことがあります。自転車について知りたかったら 自転車の模型でもなんでも 実際に作ってみれば、どこがどのように大切なのか/工夫してあるのかがわかってくることでしょう。例えばカブトムシなら、それを解剖してみれば、カブトムシの生態についての何かがわかってくるかもしれません。そして、もっと大きな不思議に思いあたり・出会い、どんどん興味が広がって、より深い世界での新たな「なぜ」に遭遇することになることでしょう。わかることが増えると、わからないことがもっと見えてくる…そんな生涯にわたって広がる素敵な「なぜ」に、音楽を通して触れてみませんか?音をあなたの世界観で編集し直すこと、そのためのあなたの立脚点(アイデンティティ)を見出すこと…こんなお勉強をしていきたいと思います。
■東京藝術大学音楽学部作曲科、同大学院修士課程(作曲課程)修了。日本音楽コンクール作曲部門第1位・安田賞。東京文化会館舞台芸術作品募集最優秀賞。是阿観 井上道義 作曲家コンクール 最優秀賞。「何もないことのすべて」をキーワードに音楽創作を続けている。
【担当授業】音楽基礎演習 音楽理論Ⅰ.Ⅱ 作・編曲法Ⅰ.Ⅱ 作曲演習Ⅰ.Ⅱ
卒業作品・卒業論文タイトルの例
・作品「はくちう夢」(パフォーマンス、照明を伴うインスタレーションと音響のために)
・作品「ミュージカル『可否物語』」
・作品「ikageso10」(1台のピアノと10手のために)
・作品「象と鯨」(不始末なトロンボーンと特殊な回転椅子のために)
・論文「武満徹〝音〟との出会い、そして葛藤 〜作品の変遷を巡って〜」
・論文「表現としての〝遊び〟」
・論文「新しいパフォーマンスの在り方 〜フラッシュ・モブの可能性〜」
■声楽
渡邊 史(准教授:声楽)Watanabe Aya
可能性を「声」にする!! 表現を、想いのままに…
歌手として舞台に立ちながら「声」の研究を進めています。「声」は、大切なコミュニケーション手段、表現ツールのひとつ。感情や思考、健康状態までも表し、声の魅力は、その人の魅力につながります。そして「歌」は、声と言葉のステキな結びつき、人類の創りだした「生命エネルギー」のほとばしり!教育現場では「歌」をとおして季節や行事を紡いでいく機会がたくさん…ステキに歌ってみたいですか?ではまず、しっかり立つことです。レッスンでは呼吸トレーニングを取り入れた全身ストレッチを導入に、身体を芯から使った発声トレーニングを行います。自分でも驚くような、ハリや力強さにあふれた本当の声」と出会うことができるでしょう。歌い続けるうちに「身体の芯」が育ち、ステキな立ち居振る舞いも身につきます。身体を芯から鍛え、声=人間力を磨きましょう。ステキな「歌」を目指して!
■ソプラノ歌手。東京藝術大学卒、同大学院修了。ドイツ、オーストリアで研鑽を積み、ミレニアムニュークラッシックオーディション第1位ほか多くのコンクールにて入賞・入選。コンサート、オペラ、ミュージカルなど、歌手として舞台活動を行う。財)地域創造 登録アーティスト、東京二期会 会員。
■非常勤講師:清水徹太郎(テノール歌手)
【担当授業】基礎声楽Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 合唱Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 声楽演習 応用歌唱法 ほか
卒業演奏曲目の例
・ヘンデル『セルセ』~木陰にて(Ombra mai fu)
・モーツァルト:コンサートアリア『誰が知りましょう、その苦しみを』
・ヴェルディ『トロヴァトーレ』~穏やかな夜だった
・山田耕筰:からたちの花
・中田喜直:『魚とオレンジ』~はなやぐ朝に
・ミッチ・リー『ラ・マンチャの男』~見果てぬ夢
・A.ロイド=ウェッバー『オペラ座の怪人』~覚えていて
■管楽器
中根庸介(准教授:器楽/管楽器)Nakane Yosuke
「楽器で語る」説得力ある演奏表現を目指して
オーケストラでオーボエ奏者として活動してきました。日本では小中学校でリコーダーを体験しますね。また部活動で吹奏楽やオーケストラを経験した人もいるかもしれません。管楽器は人間の息づかいが音になる、とても自然な表現が出来る楽器です。英語では、Wind instrument(風の楽器、息の楽器)と呼びます。管の楽器というイメージとは少し違いますね。教育者を目指す皆さんと、まずは一緒に存分に音楽を楽しんで、時には学問として楽譜や書物と向き合い、そんな中から、理想的な授業風景、教材を探していけたらと思っています。
■東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学卒、同大学院修了。リューベック音楽大学卒業。平成17年度文化庁在外研修員。東京藝術大学管弦楽研究部非常勤講師を経て、現職。大阪教育大学教育協働学科、相愛大学大学院非常勤講師。また、一社)近江シンフォニエッタの代表理事として、演奏会の企画・運営を行っている。
【担当授業】管楽器基礎Ⅰ.Ⅱ 器楽(管楽器)Ⅰ.Ⅱ 器楽(管楽器)演習Ⅰ.Ⅱ 合奏Ⅰ.Ⅱ 指揮法ほか
卒業演奏曲目の例
・モーリス : プロヴァンスの風景
・グロブレ:サラバンドとアレグロ
・スパーク:パントマイム
・F.シュトラウス:ノクチュルヌ
・バッハ:パルティ―タBWV1013
・グラズノフ:サキソフォン協奏曲